『農民が来る』
『農民が来る』
まじか?
大勢いの人が農地で俺らの方に来るではないか。
いったい何の騒ぎだろう。
怖いくらいに迫ってくるな。
俺がいる近くまで多くの農民が来ると、ピチュの作業を見出した。
「なななななな、なんて速さだああああ、あり得ないって!」
「人の動きじゃねえ、ピチュ、どうなってんだよ、教えろよな!」
ピチュの動きが異常なので、遠くから走って来たらしいわ。
遠くからでもピチュの異常さがわかる。
「速いでしょ、だってロメーロにスキルを付与してもらったからよ」
「ええええ! ロメーロのスキルか。川と農地の汚染を浄化させた神技を使う人だろ」
「ロメーロ、どんなスキルなんだい?」
「教えてくれよ」
「種まきスキルだ。ピチュのトマトが盗難にあいなくなってしまい、困っているから種まきスキルを付与したんだ。ダンにも」
農民はスキルを知りたがる。
うらやましい顔をして。
そんな風に俺を見られても、俺も困るけどな。
神様じゃないから、誰にでもスキルを与えるとは限らないのに。
「種まきスキルだったのか。確かに種まき作業をしているが、速度が普通じゃない。目がおかしいのかと思ってしまうくらいだ。ズルいよ、ダンとピチュにだけ与えるのは」
「そうですそうです、我らにもスキルを付与してくれたまえ」
「ロメーロ、どうするのよ。農民がみんな集まって来て付与しろってさ」
「困ったな。2だけのはずがこんなに多くの農民が欲しがるとは」
「そりゃ欲しがるわ。この2人の動きを見たら、誰でも欲しがるものよ。ロメーロはそこまで考えて行動する必要があるわね」
「最強のスキルがあるのも考えものですねロメーロ様」
「まったくだな。さてどうするかな」
リアンからは、後のことも考えて行動する必要を言われるも、もう遅いだろう。
今さら言われても農民は見てしまったからな。
もしも2人にしか付与しないというと、農民は2人だけになぜ付与するのだと怒るだろうか。
怒るとなると農民の間で、トラブルにもなりかねないか。
せっかく農業を発展させたくて付与したのに、仲間割れしては意味がないな。
仲間割れだけはして欲しくない。
そうなると集まった農民全員にも種まき1000倍スキルを付与して常時付与することになる。
常時付与は、俺が解除しない限りは永久にふよされて使える付与。
使う側はいいが、付与している俺には体に大きな負担となるのだ。
それがこんなにも多くの農民なら、なおさら大変だ。
しかしもう農民は付与するまで一歩も引かないつもりだろうな。




