『種まき開始』
『種まき開始』
ダンが見ていて驚きの声を出すと、ピチュ本人も驚いて手を動かしている。
初めて見る作業だけに、普通の速さがわからない俺にも、明らかに異常な速度で動いているのがわかる。
通常に人が動ける速度を遥かに超えた手の動き、足の速さだった。
「速いです、さすがロメーロのスキルね。またも成功したっぽい」
「ピチュが恐ろしく速いな。普通の速さがわからない」
「わかるように俺が隣で種まきしてみる。比較したらわかるよ」
農民ダンには付与していないので、ダンが同じ作業を開始した。
比較する対象があったほうが、スキルの効果が伝わるからな。
ダンがピチュの隣で開始した。
「ええええ!、全然遅い!」
「ダンが遅すぎます。本当に普通に作業してますか。わざわざ遅く作業してませんか?」
「リアン、俺は手を抜いてないよ。本気で作業をしている。でもピチュが速すぎるんだよ。もう追いつけない!」
「こんなにも違うものか。比較すると違いが明らかだな」
ダンが同じ作業をしていて比較すると、もうダンが遅すぎて見ていられないくらいに遅かった。
ある程度の差は予想していたけど、ここまで違うものかと付与した俺も驚いてしまった。
ピチュは凄まじい速度で働きをしていて、農地を植えてしまった。
「信じられません、一日かかる作業がもう終わってしまった!」
「終わったのか、良かったな」
「次の農地で、今度は玉ねぎもやってみます」
ピチュは別の農地に移って、玉ねぎの種まき作業を開始した。
あまりの速さにピチュは喜んでくれているので良かった。
トマトはゼノに盗まれてしまい、返ってこなかったのはショックだろう。
しかしこの分なら、すぐに取り戻せると思う。
「ロメーロ、お願いです。俺にもピチュにしたスキルを付与して欲しい!」
「あはははは、ダンは全然進んでないものね」
「笑いごとではないです。俺は真剣に言ってますよ、リアンだってやってみたらわかりますよ」
「どうするの、ダンにも付与するのですか。スキルは付与するとロメーロの体に負担が来るでしょ。あまり常時付与するとずっと負担になる」
「うん、俺の負担は大きくなる。まあリアンも知っているけどオリオン達に付与していた時は、もっと負担が大きかった。攻撃力や防御などの戦闘スキルが負担が大きいみたいだ。だからダンにも付与しても大丈夫だろう」




