『種まき』
『種まき』
「俺のスキルで農地が良くなったのは嬉しいけど、実際に農作業というのはどうなっているのかな。俺は農作業の素人なんで」
「最初に農地を耕すし、その後には種をまく作業がある。これはスキルとは関係なく手作業で今までと同じやり方ですね」
「その種まきもスキルでできたら、早くなるのかな？」
「もちろん早くなります。凄く時間のかかる作業ですので。もしかしてスキルがあるのですか」
「あると思う。種まきのスキルがあればピチュにも付与する」
「ありがとうございます！」
ピチュに約束してしまったが実はまだあるかは判明していないので、ちょっと不安感がある。
今までは膨大なスキルから選んだし、今回もイケるよな。
スキルを探すと、適当なというか、ぴったりじゃないかというスキルがあった。
ピチュに先ずは付与してみるか。
「どうですか？」
「あったよ。種まき速度1000倍スキルだ」
「まんまです！」
「そのままですけど、なんで種まきスキルなんて持っているのですか、聞いたことないけどな」
「器用富豪スキルに、ないスキルはないのだ。さっそくピチュに付与しよう、いいな」
「お願いします」
「種まき速度1000倍スキル、ピチュに付与」
『器用貧乏』 種まき Ｆランク
↓
『器用富豪』 種まき速度1000倍 ＳＳＳランク
－－－－－－－－－－－－ーー
ピチュに付与した。
まだわからないスキルなので一人だけにしてみて、様子を見るのがいい。
ピチュはポカンとしていて、本当に付与されたのかという感じだ。
「私にスキルを付与したのかな、実感ないけど」
「俺もロメーロのスキルを以前に付与された時も実感はなかった。でも作業してみると、信じられない奇跡的なことが起こるのだ。ピチュもロメーロを信じてみなさい」
「疑ってはいないよ。じゃあさっそくですが、私の農地に種まきしてみます。農地の土を掘って、そこに種を植える作業ですから、とても根気のいる作業なのですよ」
ピチュはまだ器用富豪スキルを疑っていながら、いつもしている作業に取り掛かる。
農具で土を掘って、そこに種を植えるらしいが、俺は初めて見る。
ピチュが作業を開始した。
開始したと同時にダンから言葉が出た。
「速い、ピチュの作業が速い。なんて速さだ！」
「うわああああああああ、速いよ、何これ、私はどうなってますの！！！」
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