『王都に帰る』
『王都に帰る』
王都に帰るとアスカとナミュール王女と農民ピチュが不安そうにして待っていた。
「お帰りなさい、どうだったの、トマトはあったのかな?」
「あったことはあった。実はトマトは魔王軍副官ゼノが盗難していたんだ」
「ええええ! 副官ゼノが!」
「魔王軍が私のトマトを!」
「理由がわかりません!」
3人とも俺の最初の説明では理解が及ばなかった。
もう少しだけ説明がいるな。
そこでゼノがトマトで傷を回復させていたこと。
他には魔剣ムーンソードを進化させるのがあったことをつけ足して説明する。
これで納得はしてくれるかな。
でも一番気がかりなのはピチュ。
トマトは返っては来ないからだ。
「では私の収穫したトマトは魔王軍副官ゼノが使ってしまい、なくなったのですね。あああああ~まさか私のトマトが魔法軍に使われるとはショックです」
「その説明だとピチュの農作物は異常な効果があるということです。そんなに効果があるのはピチュは知っていたのかな?」
「魔族の傷を治癒できるまであるのは知りませんでしたが、ロメーロのスキルで開拓した農地の農作物が信じられない効果があるのは聞いてました、なんでも腕力が上がったとか、足が速くなるとか、若返りがあるとか、奇跡の野菜とか、王都ではささやかれている」
「ロメーロのスキルで開拓するとヤバいわね」
「俺も初めて知ったんだよ。ダンとかの農民が農地が汚染されて困っていたからスキルをダンに付与して開拓してもらった。まさかだよな」
ピチュも農作物の噂は耳に入っていたらしい。
「それってロメーロ様のスキルが凄かったということですよね、となるとロメーロ様のスキルがなければゼノはトマトを盗難しなかったわけですか」
「そうなるね」
「ロメーロのせいで今回の事件はあった」
「俺だけじゃないだろうって。魔剣ムーンソードの件は俺とは関係ないからさ」
全部俺のせいではないよな。
そこは言っておいた。
「残念ですがピチュのトマトはないのよ。ごめんね」
「ご安心ください、確かに取り返せないのはショックですが、農地は作物の育つ速度も異常に速いのです。何倍も早く育ち収穫できる。あり得ない速度で成長する。すぐにトマトは収穫できます」
「良かった」
「ロメーロのスキルは農民には助かるわね」
「はい、農民からしたらロメーロのスキルは人が使えるスキルを超えているとみんな言っています」
「まあ、神から授かったんでね」




