『ゼノの魔剣』
『ゼノの魔剣』
ゼノは絶叫する。
大量に血が飛び出たからだ。
痛みが全身を襲ったのだろう。
「これが聖剣レーヴァテインの切れなのか。恐ろしい、恐ろしい剣だ」
「負けを認めるのか、トマトは返ってこないが」
「聖剣の強さを体で実感した。だが俺はこのままでは終わらないぞ。フフフフフフ、ロメーロが聖剣なら魔剣で対戦してやろうじゃないか」
「魔剣? 魔剣を持っているのか?」
「持ってはいない。なぜなら魔剣を進化させているからだ」
「進化? どこで進化させているのか、どこにも魔剣などないよな」
ゼノは狂ったのかな。
魔剣を現在進化させているという。
俺の目にはゼノは剣を持っている風には思えない。
それでか、魔法での攻撃しかなかった。
魔剣を持っていないとなると、どこかに隠しているとも考えられる。
もし隠しているなら、森のどこかか。
しかし魔剣があるなら、もっと早く出してもいいはずである。
「フフフフ、見えないか。魔法陣も見えていないのだな。フフフフ」
「魔法陣だと。どこにも魔法陣なんてないが」
魔法陣があるのか?
魔法陣とは特殊な魔法を行う時に使う。
ゼノは何やらここでしているらしい。
最初は傷の回復をしていると言っていてピチュのトマトで回復させたと言う。
しかし他に目的があったなら、話は違ってくる。
よく考えたら、傷を回復させる為だけに、こんな森まで来る必要があるかなと疑問に思う。
どこでも良かったよな。
じゃあなぜ森にまで来て、しかも魔族を10人は引き連れて来たのかとなる。
魔法陣が目的だったとするなら納得だな。
その魔法陣がどこかにあって、そこで魔剣を進化させる。
「レーヴァテイン、魔剣は進化によって強くなるのか?」
「魔剣を進化させると強くなるのは聞いたことはある。面白いな、私と勝負しようと言うのなら、勝負してやろう」
「面白がってどうする」
聖剣レーヴァテインに確認してみると、聞いたことはあるそうだが、彼女は進化を恐れていないようだった。
規格外のレーヴァテインだけに、その意見は参考外とさせてもらう。
するとゼノは森の中に消えていく。
魔法陣の所に行く気か?
追いかけることにした。
リアンは魔族と戦闘しているけど、大丈夫だろう。
見たところ負けそうにはないから、俺だけ移動する。
ゼノは移動すると魔法陣があった。
周りには魔族もいた。
本当に魔法陣があったか。
「ゼノ様~、進化が終わりました~」
「完成したか、フフフ、遂に魔剣が完成したぞ!!」




