『41 勇者オリオン』
『41 勇者オリオン』
オリオンの叫び声はギルド内に響いた。
ギルド内に戦慄が走った。
勇者であるが、取り乱して大声をあげているのだから。
オリオンは自分でもわかってはいるが、発狂しないでいられないのだ。
「リアンが言うのなら、俺達はとんでもない失態をしたことになる。最も優秀な仲間を追放したのだから。どうするのだよオリオン、もとはと言えばお前が追放したのだろ、お前が責任取れよな」
ボーデンが今回の件、前回の件の失敗をオリオンが責任取れと。
賢者のくせに、偉そうに語るがお前こそ、ロメーロのスキルを見抜けなかったのだろとオリオンは思う。
同じようなものだろと。
全部オリオンのせいにされるのは納得できなかったのだ。
「ボーデンだってロメーロを見抜けなかったのだ。俺と大差ないだろ」
「くっ、それは……」
ボーデンはオリオンに言い返せない。
自分が博識なのが裏目に出た。
大賢者であり、パーティーでは知識があるとされていたのが、逆に何の役に立たない知識と思われた。
大賢者の知識は尊敬されるはずが、このままでは大賢者の地位も危ぶまれるのに危機感を覚える。
「もうロメーロは居ないのよ。みんなはロメーロが居ないと弱いまんまだった。昔より強くなっていても強くなったように思っていただけの、本当は弱かった。どうするのオリオン?」
大神官はわかっていた。
ロメーロが実は最強の冒険者だったことに。
しかも最強の度合いがけた外れだったことにも。
いつからそんな化け物のような存在になったかはわかっていない。
でも大神官のなかでは、ロメーロがいたからSランクパーティーになれたとわかっていた。
だからオリオンには忠告したのだったが、彼らはリアンの言うことに聞く耳を持たなかった。
それが2度の依頼の失敗に繋がったのだった。
当然にギルドでも破滅の団の2度の失敗は噂になるし、ギルド側も困惑していた。
勇者パーティーがたかがBランクの依頼で失敗するのは想定外だったからで、むしろ楽勝で終えると思っていた。
「ロメーロはこのエピック国からも追放されたのだろ。今頃は別の国にいるだろうな。それとリアンの話なら、リアンも弱くなっているはずだ。しかしあのダンジョンでリアンだけ残った。そしてハーピーを全滅させ、帰ったのだ。これは不思議だ、リアンの説明と矛盾する。リアンも弱くなっているべきだろ?」
大賢者のボーデンは疑問に思う。
今の話が本当ならば、大神官のリアンも弱くなっていないとつじつまが合わない。
だがリアンは一人で帰ってきたのが変に思えたので問いただした。




