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『トマトが盗まれる』

『トマトが盗まれる』


「やってみようか。どうなるかはわからないけどな」


 リアンが依頼の受付けをしてくれた。

 詳しい依頼の内容はリアンが聞いてくれていて、内容では農民のダンからの依頼であった。


「ダンからの依頼だったのか。彼は俺もよく知っている農民だし、寄ってみるのがいいな」


「ダンのトマトが盗まれたなら大変だしね」


「ダンは以前に川の水が汚染されて農地が使えなくなった時の農民の人でしたかな」


「そうだな、スキルで川の水を浄化して農地の汚染も無くせた時の人だな。農地に行けば会えると思う」


 ダンとは川の汚染の件で出会い、仲良くなった農民である。

 彼が困っているなら助けたいし、何とか力になろうと思う。

 王都の近くに農地がある。

 広大な農地は一時は汚染されてしまったが、スキルを付与したことから、復活しているようだった。

 農地に行ってみるとダンに会うことができた。


「ダン、最近の農地の調子はどうだい?」


「ロメーロかい、おかげ様で農地は汚染されていた状態から再生して、汚染へなくなった。しかも土が以前の土と違っている」


「どう違うの?」


「作物が異常に早く育つし、味が信じられないくらいに美味しくなった」


「良かったじゃない。美味しくなる分には良いことよ」


「ありがたいことです。農民はみんなロメーロのことを神のように思っています」


「神とか、大げさだよ。実際に農作物を作っているのはダンや農民なんだし、農民が偉いと思う」


「また神様の扱いを受けた。ロメーロ様はどこでもそうなる」


「俺のことはどうでもいいんだ。それよりも今日はダンの依頼を受けたから、会いに来たんだ」


「ええっ、依頼をロメーロが受けたのかい、驚いたよ! 冒険者でも下位の冒険者くらいなら受けてくれるかなと思っていたけどさ、本当に受けてくれるかい」


「受けるさ、ダンと俺の仲だろう」


「内容は聞いたのよ、トマトが大量に盗まれたって」


「そうなんです。実はトマトを栽培している農民がいるのですが、ピチェという農民です。ピチェはトマトを収穫して出荷しようとしたら、全部倉庫からなくなっていたというのです。悲しくてピチェは困っています」


「なるほど、そのピチェのトマトなのか。盗賊かな?」


「たぶん盗賊でしょうとギルドからも言われた。ギルドは盗賊が犯人として依頼を出してくれました。今頃はもう盗賊は行ってしまい、トマトは帰ってこないのかな」


 ダンは悲しい顔になった。

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