『トマトが盗まれる』
『トマトが盗まれる』
俺は宿にいた。
宿でゆっくりと休憩していた。
ドワーフのブルレスカとは別れている。
「ご苦労様でした。また活躍したのですね」
「俺は少し手伝いしたくらいだよ」
宿にはカイザール国のナミュール王女が住んでいて、俺の活躍ぶりを歓迎してくれた。
王女が一般人の住む宿に住んでいていいのか疑問はあるけど、彼女は自分で決めたのでいいと言う。
「ナミュール王女はここに住むつもりなの、ロメーロと暮らしたいとか?」
「はい、ロメーロと一緒に暮らします。国王には伝えてありますのでご安心を」
「国王が認めるならいいのかな」
「私へご安心してませんよ、めちゃくちゃ不安です」
「アスカはナミュール王女には対抗心があるのよね」
「だって婚約したいというから」
「そうですね、私は正式にカイザール国の王女として婚約を申し込みます」
「いやいや、俺はカイザール国王になるつもりはないけどな」
ナミュール王女と婚約して結婚したら、将来は俺が国王になってしまう。
全くイメージできないな。
もっと自由に暮らしたいのが俺の考えなんで、困るものだ。
アスカも同じものだ。
エルフ国の姫であるからな。
そうして宿で過ごしていても、落ち着かない感じになったのでギルドに行った。
ギルドの方が楽なのは不思議だな。
ギルドでは魔物の討伐が人気であり、自分のレベルにあったランクの討伐依頼を受ける。
最近のは常に把握しておく必要があるのは、魔王ブラーゼンが登場したことで、魔王軍が人族に攻めて来ている。
どこでまた大量に攻めてくるか、魔王ブラーゼンが来るかを知る上で、ギルドの依頼で情報を集めるのは日課になる。
「変わった依頼がありますね」
「どんなの?」
リアンが発見する。
「農民からの依頼です、読んでみると農民のトマトが大量に盗まれた事件があったらしいわね。それでトマトを取り返して欲しい依頼」
「農民としたら作った農作物が盗まれたなら大変だわね。生活に関わるもの」
「そうだな、たぶん盗賊かそんな奴らだろう」
「ロメーロが協力できるのかな。今までにない依頼ですが、さすがに無理かな。どこにいるかもわからない盗賊を捕まえるのは」
「無理はない。器用富豪スキルには無理はなかった。この依頼だって可能だよ」
盗賊か。
確かに経験したことない依頼ではあるが、器用富豪スキルの効果があるかを知れるなら、やってみる価値はあるかな。




