『オネストは怒る』
『オネストは怒る』
ギルドで報酬を精算した。
大金が入りホクホクしていると、俺の前にガブレラ神と勇者オネストが現れる。
神映話スキルであった。
「うわあ、びっくりするな。オネストにガブレラ神って、いきなりどうした?」
「ええええ~~~ガブレラ神とオネスト!!」
「まさか本物か!!」
「嘘だろ!!」
ギルドの受付嬢や冒険者達は神様と本伝説の勇者オネストに驚くしかない。
「おいロメーロよ、お前はオーガのいるダンジョンに行ったのだな」
「行ったけど、それが何かな」
「なにかなじゃないよ~~~、お前はとんでもないことをしてくれたな。あの壁ほ俺が作ったのだぞ」
「ええええ~~~」
勇者オネストが作ったのを俺が破壊させてしまったわけか。
「オネストが作ったのをロメーロが壊してしまった。私もおかしいなとは思っていた。なぜここだけ壁があるのかなと。不思議に思っていたら勇者オネストだったのか」
「ドワーフ族の私も叩いても絶対に傷もつかなかった。奥にはオーガもいてオーガも壊せなかったのよね」
「そうだとも、オーガが多数生存しているダンジョンで最も危険なダンジョンにも指定されていたのを俺が絶対に壊れない壁で防御したのさ。だから長い年月の間オーガは出てこれなかった。俺が苦労して封印したわけだ」
「それをロメーロが壊すのを手伝いしてしまったのです。オネストも怒りますね」
「いや~俺は知らなかったからな。先に言ってくれたら良かったのに」
「俺も壊した後に知ったのだから、言えなかった。しかしもう壊したのだから仕方ない。ただオーガはなぜか出てこないようだ」
「それはワシが答えよう。オーガ他の魔物連中はロメーロを警戒しておるのだ。オーガが討伐されたのを知っている。だから不用意に地上には出れない状況にある。またロメーロに会うと殺されると思っているのだろう」
「オーガらが地上に出てこないのは良いことだな。まあ出てきたら俺が討伐するけどな」
「オネストよ、私の活躍もあったのを忘れていないか」
「その声はレーヴァテインだな。さっそく聖剣を使ったか。レーヴァテインの切れ味は凄いだろ、俺も世話になったものだ」
「感謝しなさい」
「感謝してます。オーガがあっさり切れたよ」
「まあ、オーガが地上に出てこないのだから、オネストも怒ることはない。それに超レアな鉱石も入手したようだしな。きっと役に立つ鉱石だよ」
「か、か、か、か神様がああああああああ」
「みんな混乱しておるので、この辺で帰るとしよう。ロメーロよ、魔王の討伐の日は近いと期待しておる」
「それじゃあな神」
ガブレラ神とオネストは消えたのだが、ギルド内は騒然としている。
周囲では、俺のことを何者なのだとばかりに見ていた。
壁を破壊してしまったのは納得できて、なんとなく壁は誰かが作ったっぽいなと俺も思っていたのであった。
ただオネストとは思わなかった。




