『39話 勇者オリオン』
『39話 勇者オリオン』
「リアン、もっと説明してもらおうか。ロメーロが居ないから俺たちのパーティーが危険になったのかを」
ダンジョンから逃げるのに成功したオリオンたちパーティーは冒険者ギルドに。
必死だった。
怖かったのはオリオンだけではなかった。
リアンはダンジョンに残っていた。
オリオン達は逃げるのをリアンだけ残して、つまりはリアンが戦っている内に逃げたのだ。
なぜリアンは無事だったのか。
オリオン達はみんな傷を負い、疲労感のまま、ぎりぎりで帰れたのに、リアンはハーピーを倒して帰ったのだ。
オリオン達は、逃げるのに成功てのが寂しい。
ボーデンとクランクとハニーの大ケガの具合は、治療院に行き回復させた。
オリオンの体力と傷の回復も。
治療院は回復術士が開業した、治療してくれるお店だ。
無料ではなく、ちゃんと治療代金は取られるので、出費となった。
本来なら僧侶ハニーもいるが、回復魔法に限界があるため、代金を払った。
僧侶の仕事ができない以上は、金を払うしか回復する方法がなかったのである。
これにはオリオンは不満になる。
そうして大神官リアンは一人でギルドに帰った。
リアンはオリオンの質問に、
「説明する。私はいつもロメーロを見ていたの。彼は補助に徹した活動をしていたのは、みんなもご存知でしょ」
「補助で活動てか、補助しかできねえんだよあいつは。俺が賢者になれたのはロメーロが居たからとか言う気か、バカか」
「まあボーデン、落ち着け。リアンの話しを聞こう。リアン、続けてくれ」
「はい、ロメーロは補助をしていたのは理由があると私は思っているの。ロメーロのスキルは『器用貧乏』と聞いていたわね。使えるスキルが膨大な数なことなのが特徴の」
「しかし使えるスキルは全部Fランクよね。残念なユニークスキル」
ハニーがバカにしてもリアンは揺るがない。
オリオンも聞いている範囲では、Fランクのスキルしか使えないと。
ロメーロのスキルは数ばかりだし、凄いスキルてのは今まで一度も見ていない。
そうなるとオリオンたちの感覚とリアンの感覚が違うとなる。
ロメーロの何が凄いのかは、まだリアンの説明からは聞けていないのだ。
「私も最初はそう思っていた。ロメーロはFランクスキルを多量に使えるのだなて。でも違うのに気づいた時があって、ロメーロはある時からFランクスキルではない、もっと上のランクのスキルを使っていたの。ロメーロに直接聞くと、なんとなくごまかすところが彼にはある。ロメーロが使っていたのはFランクではなくAランク、もしくはSランク級のスキルを使用していた。それも複数のSランク級のスキルを常時発動していたと思われるの」
「なんですって!」
「あの補助のロメーロが常時発動していただと、それもSランク級のスキルを?」
リアンの説明にはさずにオリオンも驚く。
まさかあの補助やろうが、Sランク級のスキルが使えたなんて考えたこともないからだ。
それにスキルを常時発動するのは極めて高い能力が必要であり、Sランクのスキルとなるともはや人の能力を超えている。
ただオリオンだけでなく、ハニー、クランク、ボーデンも驚いているのが顔から伝わったのは、誰も言葉を言えないことからわかった。




