『315』
『315』
「なぜ笑うのだ。何がおかしい」
「だってもう植物なら手にしてますから。十分に確保採取できました。教皇に届けるだけです」
「なんだと! いつの間に!」
「早い、早いのでおかしい。落とし穴に落ちただろう?」
「落とし穴? ああ、あの穴ね。落ちましたよ。いきなり落ちてびっくりした。ロメーロ様のスキルで直ぐに出れた」
「直ぐに出れた。出られるはずない、あれは賢者の」
「おいオリオン、黙れ」
賢者ボーデンがオリオンの口を封じた。
なんかあるのかな。
「オリオンさ、今何か言いかけたよな?」
「なんでもない」
「私達は落ちたとして、オリオンも落とし穴に落ちたとか?」
「落ちた。リアンとは離れた場所にいたが」
「そうなのね、きっと冒険者が魔物に罠を仕掛けたとも考えられるわ」
「そうだろうな。俺達が仕掛けたのではない」
「あと、樹木が異常に成長していて通れなかった。邪魔だから、ロメーロのスキルで周囲の樹木を全部枯らした。そしたら通れた」
「枯らしただと? そんな事までできるのかよ」
「できますよロメーロのスキルはなんでもできる、不可能はない」
「不可能はあるよ、俺が規格外過ぎるだろう」
どうやらオリオンも落とし穴に落ちたという。
となると穴はオリオンか賢者ボーデンではないとなった。
知らない冒険者が仕掛けたのだな。
まあ、それならいいか。
ただあの落とし穴には魔法がかけられていた。
出ることができない魔法だった。
器用富豪スキルでから脱出できたけど、普通には出れない仕掛けだったが、どうやって出たのか。
一定時間経つと出れるということか。
ご苦労だったな。
「ロメーロのスキルで樹木を枯らしてしまうとは。そんな発想はおかしいだろう。考えても実行するかよ。せっかく賢者が」
「おいオリオン」
「ああ、また何か言いかけた?」
「なんでもないさ。気にするな。俺たちはロメーロとは違う方向に進んでいたから、その樹木の邪魔にはならずに済んだ」
「オリオン達が正解だった。一緒に行けば良かったのでしょうか」
「いいえ、エニシャルはオリオンを勘違いしている。こいつらは信じてはいけない」
「うるせえなエルフ。偉そうに言うな」
「今までのことをエニシャルに教えるだけです」
「ロメーロが樹木を勝手に繁殖させたおかげで、俺たちはここまで飛ばされてしまった。ロメーロには迷惑を受けた。もし繫殖させなければ、俺たちが先に植物を取っていた。繫殖させられ樹木の枝にからまり、そのまま移動出来なかった」
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