『309』
『309』
枝が切れて大声で叫んだ。
俺の剣を甘くみていたらしく、相当に驚いている。
「誰なんだロメーロ、何者だ」
「勇者ではない、ただこの森にある植物を取りに来ただけだ。そしてお前が邪魔だから始末する」
「うううううううう、俺様を始末するだと。フフフ、大笑いだ。人族ごときにこのトレントが負けるはずはない。王都を支配したらエピック国も支配するのだ」
「ずいぶんと計画的だな」
「フフフ、俺と一緒に動いている魔族がこの王都周辺にいる。フフフ、森は俺が支配し、ある場所はサハギドンが支配する。さらにある場所にはサンダードラゴンが控えている。これで王都の包囲網は整った。フフフ、これ以上は話せないけどな、どうだ驚いただろう!」
「サハギドンなら王都の川の上流、サンダードラゴンなら鉱山だろう。知っているよ」
トレント亜種から意外な言葉があった。
それはここまでに討伐した魔族。
サハギドンにサンダードラゴンの名前が出たので言っておいた。
「そこまで知っている! どうして知っているいるのか」
「トレントの方こそ、知らないのかよ。教えてやるけど、サハギドンもサンダードラゴンも俺が討伐して、すでに死んでいるってことさ」
「死んでいる?!」
「そうだよ、報酬も得ている。川は浄化して農地は戻したし、鉱山での採掘はドワーフ族が再開する。この森も好きにはさせない。黙って出ていき魔族の国に帰るか、それとも俺に殺されるかだ、さあ選べ」
「フフフフフッフフフフフフフ、人族は笑えるな。川は浄化して、採掘を始めただと。嘘をつくな。そんな話は聞いてない。もし本当ならどちらかが死んだら俺の所に言ってくる。何も言ってこないのは、まだ生きている。または両者とも俺に言いに来る時間がなかったかだ。だがそんなことはできるはずがない」
「それができるんだよ俺は。悪いな連続して討伐した。だからもうトレントに言いにくることはないな。まあ、確認させてもいいが、その前に討伐するので、確認は無理か」
「バカな、連続してだと!」
「それは本当だ。ロメーロが言っているのは本当だ」
「きさまは?」
「エピック国最強の賢者であるボーデン。知っているだろう」
「大賢者ボーデンか。聞いている、その繰り出す魔法は城をも破壊できるとな。ロメーロと一緒に討伐したのだな。勇者と賢者とロメーロとで共同で討伐したのか。確かにそれなら理解できる」
「そうだ」
ボーデンは返事をした。
共同で討伐したと。
完全に嘘だよな、俺一人だけど。
「俺も忘れるなよ、エピック国最強の盾、クランク様だ」




