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『3 勇者パーティーを追放3』

『3 勇者パーティーを追放3』


 ダンジョンとかで後方に俺がいたのは、俺が器用富豪によって後方支援してやっていたからにほかならないのだが、それは気づかないなら賢者失格ということになる。

 例えば後方から俺がSSSランクスキルで状態異常無効にしてやったり、魔物からの魔法攻撃を強化してやったりしたのは気づいているよな。

 見識ある賢者の次はタンカー役のクランクだった。


「オリオンとボーデンが言ったのと同じ。ロメーロは戦闘力があまりにも弱すぎだ。戦力外だ。盾役に徹しているのをキミはどう思う。いつも危険をおかしているのだ。だがロメーロは安全運転だ。傷つかない安全だ。だがね、今後は魔王にも相対する危険性は比じゃない。これはロメーロに忠告しておく、キミは死ぬよ、器用貧乏な戦闘力と肉体では必ず死ぬよ。だからここで追放するのはキミのためなのさ。つまりは危険だから、もう家に帰ってお母さんにご飯を作ってもらいなさい。その方がロメーロの為なんだよ、あははははははははは!」


 何が面白いのか、クランクは笑いだし、ハニー、オリオンとボーデンも笑いだした。

 しかもテーブルを持ち上げて俺を潰そうとする。

 あいかわらずの豪腕だな。

 腕力では王都でも一番だろうが、俺には効かないが。




ー-------------

「器用富豪スキル、豪腕1000倍上昇」


『器用貧乏』腕力 Fランク

『器用富豪』豪腕1000倍上昇 SSSランク

ー--------------




 テーブルが俺の頭上にあるのを落として来る。

 普通の人なら防げないし、大ケガは必死だろう。

 しかし豪腕1000倍スキルには通じない。

 テーブルを片手で掴むと、テーブルをそっと置いた。

 まるで本を一冊持って置くくらいの感覚で。

 

「テーブルを片手で!!!!」


「危ないだろう、テーブルは人に振り落とすものじゃないぜ」


 俺の異常な行動にオリオン達はあっけに取られる。

 これで器用富豪スキルが凄いとわかってくれたらいいが、彼らはそうは思ってくれないのが残念である。

 ただし大神官のリアンは下を向いている。

 彼女は追放したのだから、これ以上の悪口は無用て感じ。

 大神官はいつも俺に優しかった。

 本当は今までお世話になったから、お礼を言いたいところを、大神官リアンにだけお礼するのも変である。

 お礼は、無しとした。

 ただお世話になったのは事実だ。

 今までの分は感謝したいし、そうあるべきだ。

 冒険者としての最低限のマナーだ。

 そこで最後に俺から俺のユニークスキルについて話をしておくべきと考える。


「オリオン、ボーデン、ハニー、クランク、リアン。みんなには感謝しているし、俺は最後に話をしておくのが人として大切だと思った」


「なんだよ、まだ何か言いたいのか、まさか金か?」


「金?」


「そうだよ、追放したからには、今後の保証金をだせとか。そういうの俺はしないか手切れ金も出すつもりはない。言っておくが、金は出さないぜ!」


「金や保証金など要求しない。俺の言いたいのは、俺のユニークスキルについてだが」


 まさか俺が最後に金を要求すると思ったなら、それこそ失望する。

 もちろん保証金など要求はしないし、考えもなかったのは、そもそもお金にあまり興味がなかった。

 最初は器用貧乏だったし、お金は稼がないと生きていけないので必死だったわけだが、器用富豪となった俺には生活費のお金はもはや無用でしかなかった。


 上位進化した器用富豪スキルを持った俺には金など必要無くなるほどの進化だったし、お金の持つ価値が崩れた瞬間だった。

 それだけの偉大なる力を得たのに、今さらお金を要求するわけないが、それでも俺がお金を要求してくると思ったなら、失望としかいいようがない。


 そんな風に俺を見ていることに、多少なりともショックである。

 仮にも金が本当になく一文無しとしても、要求はないと言えた。

 違うのだ、俺が言いたいことは他にあるのに、なぜ誰も気づかない。


「ユニークスキルについて?」


「あははははははははは、お前のユニークスキルは『器用貧乏』だろ、そんなの戦闘で何の役に立つのだ。器用なスキルで魔物を気持ち良くさせる気か!」


「最高、魔物を気持ちよくさせるの、めっちゃ笑える、ロメーロ、あなたさ、芸者しなよ。冒険者辞めて、街で芸者しな、あははははははははは」


「ロメーロ。みんなそう言ったのは、あなたが破滅の団には要らないからよ。あなたにはふさわしくない」


「大神官………」


「あははははははははは、大神官のリアンからも言われたな、もう最高だよロメーロ。面白過ぎる」


 リアン以外はみんな大笑いした。

 短期間ではあったが、俺はこの破滅の団に所属して、精一杯に貢献したつもりだった。


 最初は破滅の団はFランクだった。

 Sランクになるまで、俺は自分のユニークスキル器用富豪スキルを使い貢献したのだ。

 しかし誰もそのことに気づかなかった。

 いやリアンは別だったはずだが。

 それどころかユニークスキルについて聞く耳を持たなかったわけで、説明せずに追放されたのは残念だ。

 これで破滅の団から俺は追放となり、俺はどこにも所属しない自由の冒険者だ。

 完全自由もいいか、案外と楽でいいかも知れないしな。

 うるさいオリオンは居ないし逆にやりやすいのもあるが、本当に俺をぬきでオリオン達は安全にダンジョンをこなせるか。

 追放されて俺はギルドの受付けの前を通った。

 冒険者ギルドとは、主に冒険者に依頼を紹介する場だ。

 冒険者の登録をして、ギルドから依頼受付けてもらう場だ。

 主に冒険者の収入はこの冒険者ギルドを通じて得られる。

 ここには冒険者として成りあがってやろうとするものが多くいたり、大金を稼いでやろうとする者もいる。

 夢を持った男女が集まる場だ。

 冒険者は強くなればいくらでも上に成りあがれる職業であり、それは地位の低い大多数の人に取っては希望でもあった。

 大貴族のように恵まれた家系ならば、あえて危険を侵す必要もないが、そのような裕福な家は極少数だった。

 大多数の人は暮らしは厳しくて、食べていくのが精一杯な生活で、生活費を稼ぐのがやったな現実があり、強くなりたいと誰もが思うのだった。

 俺もその一人だったし、器用貧乏でFランク冒険者として、オリオンのパーティーに入れたのは嬉しかったから必死に努力した。

 そうしていたら、冒険の途中で上位進化して偉大なる力を得たわけで、そこからは俺はこの絶対的な力を使い後方支援して、オリオンたちを支援した。

 そのおかげで破滅の団は急成長したのだった。

 依頼はランクによって報酬も変わり、高いランク程に報酬も高くなる仕組みだ。

 スキルランクと同じく冒険者にもランクがあり、ギルドがわかりやすくするために、区分けしているのである。

 


Fランク 冒険者初級が始めるランクで、報酬は最下級に低いため、生活は苦しい。


Eランク 一人で初級の魔物が倒せるようになる。


Dランク 複数の初級魔物が倒せる


Cランク 中級の魔物が倒せる


Bランク 冒険者として目指すべきランクであり、多くの者はCランクで終わる。Bランクになりたくてもなれないのは才能がないからで、依頼も高額な額なる。


Aランク 国でも少数しかなれない選ばれた逸材であり、国宝級とも称される。


Sランク 国家の最高の冒険者として国から直接依頼を受け、災害級の依頼をなる。オリオンの破滅の団がSランクに認定されていて、最高の評価を受ける団だ。



 受付嬢は俺と目が合うと、


「ロメーロ、お話があります」


「はい?」


「話はきいてました。すみません聞こえてました。あなたは破滅の団を追放されたのですね。申し訳ございませんが、そうなるとギルドからも邪魔です」


「邪魔とは?」


 なぜ邪魔なのか?

 別に危害を加えたわけでもなく、ギルドに登録しているのも邪魔ということか。

 別に魔物は倒せるし、国に貢献すれば冒険者として登録するのはむしろ喜ばれることだと思うが、それがなぜ?


「邪魔なのです。なぜなら勇者パーティーから追放された人がいると問題なのです」


「意味がわからない。わかるよう説明してくれ」


 まるで話が読めない。

 いったい何をしていて、俺を邪魔扱いするのかを説明して欲しい。

 まるでギルドがオリオン側にいるような空気だった。


「理由はロメーロにある。勇者パーティーを追放された人物は、極めて危険だから。きっと勇者パーティーに復讐を計画して実行します。勇者オリオンを恨むからです。必ずオリオンに危害を加えます。勇者オリオン達は貴重な我が国にとって有能な人材、代わりはいない人材なのです。ロメーロとは違う」


「俺の代わりはいるてことか?」


「いくらでもいます。募集したら直ぐに集まりますロメーロの代わりは。確かスキルは器用貧乏でしたかね。ユニークスキルとしては平凡なスキルですが、ようは下級のスキルが複数使えるだけのスキルでしたね」


「なるほど、それで俺にどうしろと、受付嬢さん?」


 代わりはいるか。

 器用貧乏スキルならば、納得するも今の俺は器用富豪という冒険者として最強を超えている位置するくらいの力を得ているのだが、それでも邪魔か。


「エピック国から追放します。本日を持ってこの国から出て行ってください」


「なんだと、国外に追放を」


 まさか国外追放とは、俺の予想を超えている扱いに、ギルドのバカさに驚いた。

 いくら有能なパーティーである破滅の団を守るからといえ、俺がオリオンに復讐するわけがないのだ。


 バカも休み休み言えと思うも、この受付嬢には何を言っても無駄な感じがあり、俺は反論する気も起きなかった。

 あまりにもバカバカしいと反論したくなくなるものだと、ここで勉強になった。


「はい、今すぐに国外の方へお願いします。従わないのなら、ロメーロをギルドへの危険分子として牢獄に入れます」


 たった今、勇者パーティーから追放されたと思ったら、次は自分の住む国からも追放された。

 しかも従わないなら牢獄しいれますと、真剣な顔で言われたのは、笑うしかない。

 なにしろ俺は危険な行動に出るかららしいが、俺をバカにしているとしか思えない。

 なぜ俺が勇者オリオンに復讐するのか、教えて欲しいのだ。

 するわけない。

 復讐しても俺には何もいいことはないし、この偉大なる力に対して、言うことかと思う。

 だが勇者オリオンの座る席からは、


「あははははははははは、ロメーロ、国外追放かよ!」


「残念だな、当分は会えないな!」


「さよならロメーロ!」


 俺に対して最後の挨拶をしてくる性格の良さ。

 よくもそこまで言えるものだと感心してしまうよな。

 逆に言えばオリオンもギルドもその程度の人間だったわけで、もう何も言うことはないって感じだ。

 あらためて俺からも言いたい。

 追放したのを後悔するなよ。



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[一言] 自分のスキルについて話したいと言っておきながら黙ってギルドを出ようとするロメーロの行動が、彼の不器用な所を上手く表現していた。
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