『012』
『012』
森を進む。
急ぐ必要はないので、途中で休憩もした。
「エニシャル、どうなの。もう着くの?」
「地図ではこの先です。到着します。しかしここら辺は木が多くて険しい。どうしたのかな。以前来た時はこんなにも険しくなかった」
「凄い木だ。先が見えない。歩けないよ」
「歩けないのは困るな」
急に大木が茂ってきていた。
先に進むのは困難だったから、そこで立ち止まった。
地図では先らしいがエニシャルも知らないくらいに環境が変化しているようだ。
「大木だけど切るしかないかな」
「切るのは大変ですよ。先までずっと生えています。それにここを通らないと先には進めません」
「ロメーロのスキルで瞬間移動はできますの?」
「そうよ、移動したら楽だし、早い」
「それが難しい。遠くのある地点に移動はできるが、森のような場所で、指定した場所には難しい。歩くのがいい」
瞬間移動も万能ではない。
便利ではるけど。
徒歩で進むしかなかった。
「難しいか器用富豪スキルでも。そしたら強行突破しかないですが、強引に進みますか」
「通れないことはないけど、めっちゃ歩きにくいでしょう」
「仕方ない、突き進む」
「待ってくれ、瞬間移動は難しいのはあるけど、他にもスキルはある」
器用富豪スキルは瞬間移動だけではないからな。
「えっ、やはり切るのですか」
「切るのは大変だろう。もっと簡単に木をなくせばいい、スキルは大量にある。その中から選ぶ。器用富豪スキル、植物絶滅」
『器用貧乏』 枯らす Fランク
↓
『器用富豪』 植物絶滅 SSSランク
ー--------------
数あるスキルの中から選んだのは、植物絶滅スキルだった。
使ったことはないが、これが一番適していると思った。
実際に使ってみた。
瞬間的に周囲に生えていた密林が、一気に減衰していった。
見る見る間に、弱っていって枯れていく。
「ああああああ! 大木の森林がいっせいにしぼんでいきます」
「多い茂っていた木が小さくなってしまった。これなら通っていけます。さすがロメーロ」
「こんな事ができますか。神を見ているようですわ」
「だってロメーロは神から与えられたスキルだから」
「えええっ、神から? 神ってなに」
「リアン、その話は止めよう。混乱する」
「そうですね。黙っています」
エニシャルは神の話で混乱してしまうので、口止めした。
そのうち見るだろうけど。
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