『010』
『010』
膨大な数がある器用富豪スキルから探した。
トラップを転移させるスキル。
これがいいだろう。
スキルを使用した事はないが、やってみた。
「初めて使うの。どうなったの。何も変化は起きないな」
「俺も見た目はわからないけど、進む方向にある落とし穴は転移させた。場所は関係ない場合に送った。これで大丈夫だ。もう落ちることはない」
「良かった」
「大きな穴を、どこかに転移させるなんてできますの?」
「できた」
「ロメーロはなんでもできる。凄いです。教皇が知ったら驚くでしょう」
落とし穴は転移させたので、不安なく進める。
アスカも気にせずに歩きだした。
「オリオンはロメーロが今頃罠にかかっていると喜んで大笑いしていますよ」
「オリオンはそこまでロメーロを嫌っていますの?」
「そうそうオリオンはロメーロが嫌っていて、ロメーロを追い込むのが好きなの。直ぐに大笑いする。でも最後はオリオンが負けて残念でしたとなる」
「まあ、転移させたのはオリオンにもわからないだろう。森で会ったら、その時は落とし穴について言ってくるさ」
進んでいくと再び魔物が出るので、アスカが戦闘になった。
森は険しくて、地図がなければ難しい。
道はないので、方向を間違えないようにエニシャル頼みだった。
彼女は地図が読めるので大いに役だった。
「もうすぐに植物が多く採取できる地域に到達できそうです」
「エニシャルがいるので早く来れた。助かる」
「この分なら、オリオンには会わずに済みそうだ。俺はなによりそれが一番良かった」
「私も会いたくない」
「皆さん嫌ってますね。こんな嫌われる勇者オリオンて何なのでしょうか。本当に勇者と呼べるのかな」
「国王が勇者として認めているだけで、私達は認めてません。特にオリオンは酷い。教皇もオリオンに頼むのはもう止めて欲しいのよね。でも私からは言えないけど」
「そのうちに教皇も気づくと思う。ロメーロ様が優れていて、勇者オリオンはまるで無能で有害だとわかります」
「教皇は、エピック国でも影響力があります。国王と同じかそれ以上とも言われています。教皇がオリオンの評価を下げれば国王も影響されます」
オリオンの悪口を言いながら進んだ。




