『021 勇者編』
『021 勇者編』
ロメーロが鉱山の街でサウナに入り、王都に帰った後に、時間をおいて王都に到着した勇者パーティー。
オリオンはがっかりとしていて、同時に怒りが爆発寸前だった。
目の前にいる人を殺しそうになるのを抑えた。
「どうすんだよオリオン。俺達は鉱石が取れなくなると聞いて、財産を鉱石に突っ込んで買い占めたんだぞ。ドラゴンの鉱山を閉鎖すれば鉱石は減り、価格はあがるから、俺達は大金持になるのだった」
オリオンに鉱石の話をする大賢者。
いつも冷静な賢者らしさはない。
顔面は真っ青だ。
「それが大失敗だぜ。ロメーロがサンダードラゴンを討伐してしまったんだ。これで鉱石はまた流通してしまう。爆上がりしている鉱石を売って儲けるどころか、爆下がりしたら大損する」
クランクはもっと顔色が悪い。
財産を失うのが決まったからだ。
オリオンに不満っぽく言った。
「黙れよ、俺だってこうなると思わなかったんだ。ロメーロが邪魔するとはよ。あいつのせいで全部俺たちはめちゃくちゃだ」
「依頼は失敗するし、財産は失うし、全部ロメーロが悪い。許せないわ。私は憎いわ」
ハニーはオリオンと同じくらいに憎しみがこもっていた。
しかし追放したから、こうなったのかとも思う。
「財産を失う前に隠して持っている鉱石を売ってしまおうぜ。そうしないと損が増える」
「いや、クランク待ったほうがいい」
「なぜだよボーデン?」
ボーデンは売るのを止める。
クランクは損はするが、大損する前に売ってしまう考えだった。
「急に俺達が鉱石を売ったらどうなる。俺達が買い占めていたのがバレてしまう。急に売れば怪しまれる。そうなるのは良くない。国王に知られたら、重大な問題に発展しかねないのだ。だからここは売るのはしないほうがいい。我慢して価格が下がってから売る」
「大損するじゃんか」
「やむを得ないさ。国王から不審に思われるのはもっと最悪だ」
ボーデンは鉱石を売るのを止める理由を話すと、クランクは不満な顔をした。
オリオンは賢者の説明に納得する。
確かにあせって売るのは良くないと思ったのだった。
賢者の説明に説得力があった。
しかたなく酒場に行った。
酒を飲むしかないので、オリオン達は酒を大量に飲んだ。
「くそ~~~、これもロメーロが、ロメーロの野郎がいたからだ」
「ロメーロめ、覚えていろよ~~~」
「復讐してやろうぜ、ロメーロによ」
「私も復讐する」
酔っ払いながらロメーロに対して復讐心が膨らんだ。




