『014』
『014』
「わあああああああああ、急にじいさんがいる!」
「なんなんだこれ、誰だよこのじいさんは、いきなり現れたぜ。ロメーロが出したのか?」
「えっと、もしかして、おじいさんはガブレラ神かな?」
現れた人物に直接聞いてみる。
たぶん神だろうなと思うが一応聞いた。
「そうだよ。ガブレラ神だ。おじいさんでびっくりしたか」
「そうでしたか」
ガブレラ神の姿はじいさんの姿であった。
神と言わなければ、普通におじいさんだった。
映話というスキルは声ではなくて、普通に消える形での会話ができた。
それなら最初から神映話で良かったのだが。
なぜ通話だったのかな。
「ガブレラ神!」
「えええ? それって神様だよね。まさか神様と会話しているのかロメーロ?」
「ああ、そうだよ。この人はガブレラ神だ。リアンは良く知っている宗教の神だな」
「聖大教会の信仰する神様ですが、私も見るのは初めてですけど」
「リアンか大神官だったな。よろしくな」
「は、は、は、はい、よろしくお願いします」
リアンは信仰する神に会えて動揺していた。
そりゃ動揺するわな。
「ガブレラ神が俺の器用貧乏を器用富豪スキルに進化させたんだ。理由は俺が世界を救うかららしい」
「ロメーロが世界を救うだと。なぜ俺に器用富豪スキルを与えなかったのだ、俺は勇者だぞ?」
「オリオンではなくてロメーロなんだな。理由はあるが今は言えないかな。とにかくロメーロは器用富豪スキルを使えるようにした。魔王を討伐するためだ。みんなで頑張って魔王の世界支配を食い止めてくれ。わしは応援している。それじゃあな」
「あ、消えた」
「会話するのも器用富豪スキルなの?」
「うん、神映話というスキルだ。以前は神通話という声だけだったがら、俺も驚いた」
オリオンに会って説明したら消えた。
これでオリオンが納得するかは微妙だな。
「信じていいのかな。私は聖大教会の神官です。信仰する神がガブレラ神様ですが、実際に姿をみせるのは聞いたこともないし、見たこともない奇跡でした」
「神様を見るのは、誰もが初めてですよ。エルフだって初めてですもの」
「ドワーフ族もありません」
「まあ、そう言うことだオリオン。これで信じてくれるな。俺が器用富豪スキルを手にしたのを」
「信じるもなにも、意味が分からない。頭が混乱する。こんなのあり得ない」
「嘘だ、嘘だ、どの文献にも書かれていない。神が人の前に姿を出すのは。過去にもなかっただろうことが今起きたのだ。歴史を変える瞬間だ」
大賢者のボーデンは一番の知識人だから、混乱している。




