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『012』

『012』


「勇者オネスト!」


「勇者オネストと言えば神話の中の人物。偉大な冒険者で、魔王を討伐した話は有名。そのオネストですか」


「勇者オネストのスキルがなぜロメーロがつかえるのだ。しかしロメーロが使えるなら、今のサンダードラゴンを討伐したのも理解できる」


 大賢者のボーデンはオリオンとは違って少しは頭が柔らかい。

 理解してくれたのか。

 逆にオリオンはまだ理解はしていない。


「俺は器用富豪スキルを使える。このスキルで破滅の団も助けてきたんだ。わかってくれ」


「だれがわかるかよ。俺は信じないぞ。偉大な勇者のスキルをロメーロが使うなんて許せない。使うのは俺だ。勇者オリオンしかいない」


「でも俺が使えるからな」


 ダメだな。

 オリオンは話が通じない。

 いくら説明しても無駄っぽい。


「認めないぞ」


「ロメーロはドラゴンを倒せるのはその古代のスキルがあったからか。どうやって手にしたのだ」


「器用貧乏が進化した。それで使えるようになった」


「器用貧乏スキルは冒険者でもよく聞くスキルだぞ。そしたら器用貧乏スキルの冒険者はみんな古代の器用富豪スキルに進化できるというのかよ。そんな話は聞いたことがない。歴史の文献にも書かれていない」


「ああ、そこは俺に聞かれても困るな。俺が進化させたわけではないので」


 ガブレラ神が俺の器用貧乏を富豪に進化させたと言った。

 だから俺にはどうする事もできない。


「貧乏スキルは一般的なスキルで、強力なスキルではないが、そこそこ役には立つスキルだ。バカな話だよな。俺はロメーロには騙されないぞ。器用貧乏が器用富豪スキルに進化したなんてあり得るかよ。ロメーロの作り話だぜ。俺はそう思う」


 オリオンは俺の話を否定する。

 何を言っても信じない気だな。

 しかしガブレラ神のことを話してオリオン達は信じるかな。

 通話はできるけど、オリオンが通話できるかはわからないしな。


「ロメーロ様、やっぱり凄いです!」


「ロメーロなら勝てると思ったわ」


 アスカとリアンが来た。

 危険なので遠くに非難せていた。


「凄すぎる。人族の冒険者って強いのね」


「ブルレスカはロメーロの戦いを初めて見るからね。そうなる」


「イフリートスなどもこんな感じで倒したのよ」


「良かったです。ドラゴンがいなくなれば、これでドワーフ族が採掘を再開できます」


 ブルレスカはドワーフとして喜んでくれたので俺も嬉しい。

 採掘が再開できれば、鉱石も流通されるしな。

 鍛冶師も仕事が増える。

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