『246』
『246』
「おおおおお、さすがオリオンだ。サハギン35匹を討伐て凄いな!」
「最近調子悪いと聞いていたが、やはりエピック国を救うのはオリオンだ。ロメーロではないな!」
「オリオン、オリオン、オリオン」
オリオンの声援が起きた。
農民を救ったという言葉に、冒険者達は歓喜した。
凄い声援だった。
「あはははははは、残念だったなロメーロ!」
「残念だが、ロメーロは今回は依頼に失敗だ。悪く思うなよ」
「リアンも出ていかなければ良かったのに。ああ、でももう遅いか。ロメーロといたら失敗するだけよ、早く戻りなさいよ」
クランクとボーデンとハニーも揃って俺達に向かって言ってきた。
嫌みな言い方だったが、俺は別に気にしなかった。
なぜなら農民が救われれば、それで良かったからであった。
オリオンの評価になろうが、どちらでも良かった。
これで川は元に戻る。
農民の生活も元に戻せると思う。
オリオンが大喜びする声が聞こえるままギルドを出た。
ギルドではオリオン達は残っていた。
まだ依頼の達成の余韻に浸っている。
ギルドにいる冒険者からは、ロメーロは大したことないなとも声があった。
「良かったのですかこれで。私としては何か納得いきません。オリオン達に全部依頼の達成を持っていかれた。ほとんど倒したのは私とリアンなのに」
「そうですよ。これではオリオンの身勝手すぎる。ロメーロも何でオリオンに言い返さないの」
リアンまでも不満を俺にぶつけてきた。
「俺はオリオンと張り合う気はなかった。あくまでも王都の農地が元に戻り、農民もよくなればそれでいいさ。報酬も要らないけど」
「サハギン35匹は全滅したから、農地は良くなるでしょう。ロメーロに期待していた農民はどう思うかな」
「オリオンに感謝するさ」
「それでいいの。悔しくないの?」
「悔しくない」
「もう、ロメーロがガツンと言えばいいのに。だってロメーロにはオリオン達破滅の団が全員で襲っても勝ち目はないです」
「戦うのはしない。俺が戦うのは魔族だ。そのための器用富豪スキルだからな」
納得しないリアンを見たのは初めてだった。
よほど悔しく思ったのだな。
リアンには俺の考えを理解してもらおう。
そのうちに理解してくれると思う。
ギルドでの今回の報酬はゼロだった。
その日は宿で過ごして、食事も楽しんで忘れることにした。




