『243』
『243』
「嫌なも来てもらうよ」
「ケケケケ、嫌だ嫌だ。仲間を殺した奴らの言うことは聞かない」
「どけ、リアン!」
オリオン?
まさかだよな。
オリオンは剣を振り、サハギンを切る。
ギャアアアアアア!
「止めろオリオン。こいつしかサハギンはいないのだぞ」
「うるせえオリオン。俺に命令するな。あはははははは、1匹なら弱いな。サハギンなんて弱い。俺たちが苦しんだのは数が多かったからだ」
「ああああ、死んだ。残ったサハギンは死にました。オリオンが殺しました」
「オリオン、こいつは殺すべきじゃなかった。なぜだ?」
「ギルドにつれて行っても無駄だ。だから殺した。悪いかよ。俺が殺したのでサハギンは全滅したのだ。周りを見てもサハギンはいない。こいつで最後だ。農民は俺様に感謝するさ、あはははははは」
オリオンは大笑いする。
自分が正しいことをしたという笑いだ。
本当に正しいかはわからないが、オリオンは疑っていないのは確かだ。
「これがオリオンです。自分さえよければいいのです。わかったでしょアスカ」
「あれだけリアンが殺さないように注意したのに、殺したのは驚きでした。リアンに従ったかと思ったのに殺しちゃった」
「オリオンは信じるなってことさ」
アスカはオリオンの性格を知って、驚いていた。
ここまで強欲な人格は初めて見た感じだった。
リアンが嫌気がさしたのも、この性格が原因なのにオリオンは気にもしないところがオリオンの本性だった。
「さあ、王都に帰るぞ。ギルドには俺が最後のサハギンを討伐したと言うからな。それでいいな」
「ほとんどは私とアスカで討伐したけど」
「違うなリアン。俺達がリアンとアスカに譲ったんだよ」
「えええええ! 強がるのもいい加減にしなさい。その証拠にオリオンの破滅の団は傷だらけだし、大量に血も流したでしょ。ハニーの回復魔法で治癒したのは見てました」
「違う違う、俺とオリオンはケガはしたがまだ全然余裕だったんだ。だから手を出すなと言ってあった。余計なことをしたんだよ」
「ボーデンまでも、オリオンと同じ意見ですか。見損ないます」
リアンとオリオンの言い合いに大賢者のボーデンも加わり、リアンに言う。
大賢者らしくない論調だった。
大賢者は強さだけでなく、知識の深さもないと認められない。
国王に認められたのは、魔法や歴史にも深い知を持っていたからだった。
それなのに今のリアンへの言葉はとても知性を感じさせない言葉だった。
酷い内容で、俺も嫌気がさす。
「それとよリアン、回復魔法が使えるのだから、俺らに回復魔法してくれ」
一番酷いケガのクランクが言った。
「なんで?」
「なんではないだろう。仲間だろ」




