『238』
『238』
「助けないと危険ですよね?」
「助けるか。見殺しは俺もしたくはない」
いくら追放されたとはいえ、見殺しはしたくなかった。
「でもロメーロ様を追放した勇者ですよ。しかも手を出すなと言っていた。放置したらいいですよ」
「アスカはオリオンには厳しいな」
厳しいなアスカは。
俺に対して冷たいオリオンには徹底して厳しいな。
「当然です。オリオンには罰を与えるべきです」
「でもこのままでは、本当に危険だわ」
アスカは放置しろといい、リアンは助けろと。
両者の意見が食い違った。
そうしている間にオリオンが大変なことになっていた。
「うわあああああああああ」
「痛いあああああああああああ」
「ハニー、助けろおおおお!」
「ヒールアップする!」
オリオン含めて3人がサハギンに囲まれて斬られる状態に。
大量の出血もしていたので、後方支援のハニーに助けを求めたのだった。
ハニーは直ぐにヒールアップする。
「ハニーが回復魔法するから、とりあえずは3人は助かるか」
「あのハニーという女性は回復魔法が使えるのですね。それなら見ていて大丈夫ですね」
「さあ、それはどうかな?」
俺はやや疑問だった。
なぜならハニーの魔力ではヒールアップができるか疑問があったからだ。
俺の予想は当たるか、わからないがハニーは詠唱して、
「ダメだ。やっぱり魔法が使えない」
「なんでだよ! 早くしろおおおおおお」
「ヒールアップ魔法は使えない。ヒールに変更します。ヒール!」
ヒールアップは使えないで、結局は最下級のヒールに変更した。
ヒールは魔力の消費量が低いが、ヒールアップは大量に魔力を消費する。
魔力がないと使えないのだ。
それを俺は危惧したのがあたった。
大賢者のボーデンの時と同じだ。
「ヒールじゃ、回復が低い」
「サハギンの攻撃には弱い!」
「そんな私に文句言うなよ。私だって必死にヒールしてんだから」
オリオンはハニーに文句を言うと、ハニーは嫌な顔で言い返した。
こんな破滅の団を見たのは初めてだった。
俺がいた時の破滅の団は、器用富豪スキルで助けていたとは言え、もっと輝いていた。
しかし今の破滅の団は酷かった。
「なんでヒールアップができないのかしら?」
「それはヒールアップは魔力を結構つかうの。私もヒールアップは使えるからわかる。ハニーはロメーロが魔力を上昇させていた時はヒールアップは使えた。けど今は上昇させていない状態ですので、ヒールアップは無理。ヒールなら使える。けどヒールの回復は弱い。オリオンは不満を言っている。私が去る時もこんな状態だった。まだ理解できないなんて」




