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『237』

『237』


「うわあああああ! 助けろよオリオン。俺だけでは無理だああああああ!」


 クランクが防御出来なくなって叫んだ。

 もう限界か。

 クランクは水斬りで、切られていた。

 流血もかなりしている。


「こいつら、強いぞ。水斬りは強い。それが30匹は多い!」


「ボーデン、魔法でもしろよ」


「わかっている。サハギン程度など30匹を同時に倒してやろう。賢者の魔法ならば一撃だ。フリージアサン魔法!」


 ボーデンが魔法を詠唱した。

 フリージアサン魔法なら知っている。

 俺が破滅の団にいた時にも何度も見た魔法だ。

 しかしこの魔法を使うには条件がある。

 Sランク級の魔法であるため、膨大な魔力がないと詠唱しても使えない魔法だった。

 元の状態のボーデンの魔力は低かった。

 それを俺の器用富豪スキルで魔力上昇してあげていた。

 だから使えたのだが、ボーデンはまだ気づいていないのか?

 だとしたら結果は良くないと思うが。

 俺の悪い予感のままボーデンは詠唱していた。


「あれ、どうしたボーデン。フリージアサン魔法を打てえええええ!」


「やっぱりか?」


 ボーデンは困った顔をする。

 何も魔法が出ないからだ。

 ボーデン本人もだが、周りのオリオン、クランク、ハニーも黙ってしまう。


「ロメーロ様、これはどうしたのですか。魔法を詠唱しているのに、魔法が出ませんよ」


「出ないな。俺は初めから出ないとわかっていたが」


「わかっていたのですか。なぜですの?」


「魔法が上級すぎる。あの魔法は最上級の魔法である。今のボーデンには不可能だな」


 アスカが疑問に思って俺に聞いてきた。

 ボーデンをバカにするわけではないが、正直にアスカには無理だと説明した。


「ななな、なんでだあああ。またかああああああ!」


「ぐぁああああああああ」


「オリオン!」


 ボーデンが魔法を出せないでいる間にオリオンは攻撃を受けて叫んだ。


「ああああああああがががががが」


「ボーデン!」


 今度はボーデンもサハギンの水斬りを受けて流血していた。

 サハギンの数が多いので、防御が間に合わないのが理由だろう。


「大苦戦ね。私もロメーロと同じで苦戦すると思った。30匹もサハギンがいたら、苦戦するに決まっている」


「リアンはわかっていたの?」


「ロメーロを追放した後に、魔物と戦う場面はあった。その時にもこんな感じだった。ロメーロの器用富豪スキルがないとCランク魔物でも苦戦するのよ」

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