『236』
『236』
「またサハギンがいます」
「増えているわね。さっきは5匹だけど、もっといる。30匹はいる」
「多いな。王都の付近にしては魔物が多いよな」
リアンが数えると30匹いたらしい。
25匹も増えていたが、王都の近くにこの数がいるなら、依頼クエストになっているはずだが。
なぜギルドは放置していたのか疑問に思った。
オリオンは俺に寄ってきて、
「サハギンが増えたが、ここも俺達破滅の団が全匹討伐する。だから手は出すな」
「いいのか、30匹いるんだ。多いぞ」
「ふふふ、破滅の団なら余裕だ。勇者パーティーの本領発揮だ」
「それなら任せる。それと言っておくが、ここに来たのは討伐が目的ではない。あくまでも農民の農地を回復させること。農地に使っている川の水の調査をすることだ」
「あはははははは、サハギンが原因だよ。サハギンさえ倒してしまえば終わりだ。解決だよ」
「オリオン、本当に農民のことを考えているのかしら、自分たちのことしか考えてないでしょ」
「リアン、何を言っている。お前はロメーロに騙されているのだよ。それを証明してやる。勇者パーティーが解決する。そしたらリアンはロメーロに愛想をつかすさ。そして破滅の団に戻ってくる」
「戻らないから」
「戻らせるさ、俺が」
オリオンはリアンに必死に破滅の団に戻らせたいとする。
しかしリアンは全くその気はなかった。
「オリオンが戦いたいと言っていますから、任せたらいいですよ。もし苦しくなったら困るのはオリオンですし」
「アスカは厳しいな」
「だってオリオンはロメーロ様を追放させた勇者です。私は許しません。だから好きにさせましょう」
アスカの意見もあり、今回もオリオンに任せることにした。
俺達は見学する。
直ぐに川での戦闘が開始された。
戦闘は前回と同じだった。
盾役のクランクがサハギンの攻撃を防御する。
その間にオリオンとボーデンが攻撃する形だ。
悪い形ではなくて、むしろ理想的な形態だった。
サハギンは剣を使う。
「ククク、水斬りだ」
サハギンが言った。
水斬りというスキルだろう。
剣を振ると水しぶきが起きる。
水しぶきはただの水ではなかった。
クランクが受けると苦しむ。
「うううううう!」
「クランク、大丈夫か?」
「剣の攻撃を受けた。さっきはなかったぞ」
「同じサハギンでも強いぞ」
「慌てるなボーデン。破滅の団の前にはただの水の剣だ。怖がるな」
「そうだな。クランクに頑張ってもらおう」




