『232』
『232』
「おおお、イフリートスを討伐しているロメーロに対してオリオンの破滅の団も依頼に行くってよ!」
「どっちが達成するか楽しみだな!」
「当然に破滅の団だろう。オリオンは俺らの勇者だぜ。負けるわけねえよ!」
ギルドらしい会話が聞こえた。
俺とオリオン達の会話を聞いていた冒険者の声だった。
どちらが先に達成しようが俺はどちらでも構わないのだが、冒険者らの興味は俺とオリオンの勝負になっていた。
オリオンは俺の方に視線を送る。
俺が嫌いだという目をしている。
王都の外に出て問題の川に行く。
「ロメーロ、川の異常はどうなった?」
「ギルドで受け付けた。これから調査に行くから大丈夫だ。心配はいらない」
俺達が川に来ると農民が大勢集まっていた。
農民のダンが不安そうに俺に聞いたのだった。
「彼らは?」
「あれは、依頼を一緒に受けた破滅の団だ」
「破滅の団? もしかしてあの破滅の団ですかあ?」
「知っていたか」
名前は農民のダンでも知っているようだな。
「知ってるも何も、勇者オリオン、大賢者、大神官がいる最強パーティーですよね。彼らが行くなら安心です。早く帰って来るのを待っています」
「では、行ってくる」
オリオンは知っているのは、いかに勇者パーティーが有名で影響力があるかを物語っている。
ただ情報はあっても最新ではない。
大神官のリアンがまだオリオンの破滅の団にいると思っていた。
農民は破滅の団の名前を聞いて騒ぎ出す。
もう解決したかのように嬉しがっていた。
オリオンが期待にこたえるかは彼次第なのだが。
川の上流付近まで来てみた。
俺とアスカとリアンが歩く先に、破滅の団はいた。
俺はやや後ろを歩く。
今のところは魔物の姿はなかった。
そして川の様子は変化ない。
「この川は本当に異変があるの? 私には普通の川の水に見えますが」
「アスカがそう思うのもわかる。見た目は普通だな。農民のダンが言うには異常があるという。何かあるのだろう」
「オリオンが先に歩いています、いいですか?」
「いいよ。歩かせれば。先に行きたいのを止めることはない。行かせればいいさ」
「オリオンは自分がロメーロよりも上だとギルドに示したいのよ。ロメーロよりもうえだとなれば、評価が上がる。最近の依頼の失敗で評価をガタ落ちしている。国王からの信頼を回復させたいのよ」
「俺は正直言ってオリオンと張り合う気はないんだ。もしオリオンが依頼を達成したなら俺は負けでいい」




