『220』
『220』
「中で繋がっているだって! それでは入り口で別れている意味がない」
アスカから衝撃の一言が発せられた。
なんと男湯と女湯は中で繋がっていると。
じゃあ、なんで入口を分けているのかと言いたくなる。
「入口の兵士は繋がっていることは知りません」
「じゃあ、知っているのは王族だけか?」
「そうです。このことは内緒でお願いします」
「別に誰にも話すことはしないが、堂々と混浴すればいいと思うが」
まるで国王と王妃達が隠れて会っているようであった。
平民である俺が王族の私生活にとやかく言うことはないか。
勝手に楽しんでくれと思う。
アスカは繋がっている場所から来たわけだ。
「細かいことはいいです。入浴を楽しみましょう」
「そうだな」
「ロメーロ様と入る為に風呂を準備させたのですよ」
アスカは湯の中で俺に接近してくる。
嬉しそうだな。
だが俺はそこで気が付いた。
アスカともう一人、リアンがいたことに。
リアンも一緒に風呂に来て、女湯に入って行った。
アスカと一緒だった。
彼女はどこにいる?
「リアンはどこだい?」
「リアンは女湯にいます。私が秘密の通路から来たのは知らないです。きっと今頃探しているでしょうね」
「黙って来たのか。まあいいか」
「だって2人きりになれるもの」
アスカはリアンには内緒で来たらしい。
秘密と言うくらいだから、アスカにしかわからない場所があるようだ。
それならそれでいいか。
ここにリアンが来ると、ややこしいからな。
アスカは嫌な顔するし、俺も困る。
「女湯ではリアンが騒いでいたら? アスカが消えたとか、行方不明になったとか」
「平気よ。後で会えるから」
「見つけた、ああああ、ろ、ロメーロ!」
「えっ?!」
「その声は?」
アスカとは違う声がした。
湯けむりの中だったが、近くに来るとリアンだった。
えっ、リアンも来たのか。
「リアンも!」
「どうやってここに?」
「アスカが女湯で突然に消えてしまって、おかしいなと思っていたの。アスカの消えた方に行ってみたら、通路があり通ったらここに来たのよ、もうびっくり」
「バレたか。説明します。実は王族用の風呂は男湯と女湯が繋がっているの。でもリアンに発見されるとは」
「私に黙ってロメーロの男湯に行くからよ」
なんとリアンは隠し通路を発見して来てしまった。




