『219』
『219』
「ここが我がエルフ国城にある、王族専用の風呂です」
「王族専用があるのか」
「あります、ロメーロ様は城に暮らした経験がないでしょ。城には王族用と家来用があるの。風呂だけでなく、分けられている。例えばご飯を食べる部屋、風呂、宿泊部屋、休憩室などは城で働く兵士、料理人、メイドの専用施設がある。私は王族だからそこは使わない。別にあるのね」
「アスカはここでは王族だものな」
「城は広い。どこから来たかわからないわ」
「私はわかっている。小さい頃から住んでいますもの。リアンは私と離れると迷子になるからね」
「離れないわ」
「周りの兵士の扱いが違う」
「当然です。皇女ですからね。さあ、入りましょう」
「アスカ様入浴ですか、どうぞ」
風呂の施設に到着した。
入口には兵士が立っていた。
不審者は入れなくする。
わかってはいるが城は広いな。
迷子になる広さだった。
もう来た部屋がどこにあるかわからない。
「俺は男性用だよな」
「はい、そうです。ロメーロ様ごゆっくりと入浴してね」
俺は男性用に。
アスカとリアンは女性用に入るので別れた。
入浴すると驚くしかなかった。
「広いな」
カイザール国でライネ姫の所有する温泉施設に入ったが、あの施設も広かったのに、それ以上に広いからだ。
思わず言ってしまう。
温度もちょうど良かった。
疲れが一気に取れた感じだった。
体が温まるな。
湯の中で温まっていると、人の気配があった。
「誰だ?」
王族専用のはずなので不審者はいない。
入口に兵士もいたから入るのは不可能だった。
それなのに、俺に接近してきた人影。
湯気で人の姿はぼやけていた。
「私ですよロメーロ様」
「アスカか? 脅かすなよな」
現れたのはアスカだった。
知っている人物で安心はしたが、アスカは入浴しているので裸同然。
しかもどうやって入ってきたのか謎だな。
「驚いた?」
「当たり前だろう、どうやって入った。入口には兵士がいて入れない。さては王族の権限で強引に兵士を突破してきたのか」
「違います。入口では別れて入ったでしょ」
「じゃあどうやって?」
入口では別れて入ったと言う。
それでは謎が判明しない。
考えようにもアスカの裸が目に入ってしまい、集中できないのもあった。
「実はねロメーロ様には内緒で教えます。この男性風呂と女性風呂は中で繋がっているのよ」




