『218』
『218』
「ああ、そのコップのことか」
リアンはテーブルにあったコップを取って、これが好きと言う。
そういうことか。
俺ではなくてコップだったらしい。
「あああっ、コップが落ちるっ」
「あああああ!」
コップを持っていた手から、するりと落下していくコップ。
手が滑ったのだった。
リアンはコップを落下する前に掴もうとする。
落下したらコップは割れる。
割れるのを防ぎたかったのだ。
リアンは慌ててコップを掴む。
落下する前だった。
コップは壊れなくて済んだ。
落下寸前に拾った時だった。
リアンは態勢を崩した。
後方に倒れたのだった。
危ない。
「リアン!」
俺はリアンが倒れないように、支えようとしてリアンを抱くに行く。
「あああああああ!」
助けようとしたが、リアンは倒れて行き、俺も倒れてしまった。
うううううう。
リアンが倒れてしまい、俺はリアンの上に乗っかる。
ヤバいな。
リアンが大丈夫か。
「大丈夫か?」
「ロメーロが抱き着いてくれたから、大丈夫だった、でも、手が」
「えっ手が、ああ!」
リアンはケガもなく無事だった。
良かった。
しかし、リアンは俺の手がと言う。
俺の手?
ああ、なんと俺の手はリアンの胸の上に乗っているではないか。
助けたのはいいが、俺も倒れてしまうと、自分でも知らない間にリアンの胸に手を。
やけに感触がいいなと思ったが。
直ぐに手を離そうとした。
「ロメーロ様。お風呂の用意ができましたが、な、な、な、なぜリアンの胸を触っているのですか!」
「これは、間違いだ。アスカ、話を聞いてくれ」
状況が悪く、アスカにこの状況を発見されてしまった。
とりあえずアスカに説明する。
説明しても、俺の手はリアンの胸に手があるのは事実だったから、説明しても説得力は全くない。
「そうです、偶然になってしまったのよ」
リアンも言い訳するもアスカは、
「偶然でそんな風になりますか。入りますよ」
アスカが部屋に入り、俺はリアンの上から離れた。
アスカは俺に風呂へ入るように言いにきたらしい。
何を言っても俺を怪しんでいる感じだった。
怒ってはいないのは良かった。
アスカが来てくれた風呂の準備があるということで、俺は城にある風呂に行くとなった。
アスカとリアンも行くそうだ。
アスカは城にある風呂だから、いつも入浴していたと思うが、俺は初めてだった。




