『24』
『24』
グールがアスカ皇女の名前を呼んだ。
どこから来るかと思っていたら、別のグールが2匹現れた。
2匹のグールがアスカ皇女を連れて来たのだった。
アスカ皇女は拘束されているし、口はふさがれていて、話すのは無理だ。
見たところエルフ族なのは間違いないな。
嘘ではなかったらしい。
縄で体を詰めつけられていて、胸がやけに持ち上げられているのはグールマスターの趣味か。
髪は金髪で耳が長いのはエルフの特徴だ。
苦しそうにしていて、グールを嫌がっているのは、エルフ族は高貴な種族と言われているし、アンデッド種を嫌いなのが顔を見たら伺える。
グールの手下はヨダレを流してアスカ皇女を見ていて、離れた俺も不快である。
キモイな、お前ら鏡みたことあるのかと問いたいが、言ってもどうせわからないだろうが。
「アスカ皇女から手を離せ。不潔だろ。グールが触るのは不潔だ」
「何を言う、我らアンデッドのグールはオーク種族よりも清潔だぞ。奴らは人族の女の子を裸にしたりして樂しむからな。グールはそんな、はしたない行為はしない。大神官の女が来ると言ったらヨダレを流していたからだ」
「お前も流しているぞ」
「いかん、お前を食すと考えたら、ヨダレが少し出ただけだ。老けたくないものだ」
「グールもオークも俺から見たら同じだ。どちらも不潔である。自分で清潔だと思うなら脳みそが腐っているのだ。それよりもアスカ皇女は俺が助ける。いいな?」
こんなバカなグールを相手している暇はないのは、息をしていても臭いし、息苦しいからで、アスカ皇女も同じだろう。
自分を清潔だと思うグールの脳みそは腐っているだろうから、この場にいるだけで俺の脳みそまで腐りそうだ。
「私を倒すと言うのか冒険者よ。いくらお前が強くてもだ、先にオークキング、ジェネラル、ダークらと戦闘して死闘したのだ。もう戦える状態ではないのは必死だ。今のお前に勝ち目はないくくく」
「勝ち目はない?」
たぶん俺のステータスを鑑定でも魔眼でもしたのだろうか、俺が格下とまだ思っているのが驚きだった。
まあ、俺の器用富豪スキルはスキルだから、ステータスでは弱いと思っても不思議はないので、そこは仕方がない。
「本当は魔力を使うのは嫌だが、老けたくないからな、だが殺すしかないな。グールマスターの実力を知るがいい。オークキングをも従える魔力をな。シャドウストーカーをくらえ!」
「やっと攻撃してきたか。それでシャドウストーカーか」
グールマスターからの攻撃。
魔法であるが闇属性だろうと思うのは、グールがアンデッドだからだ。
シャドウストーカーを見る前に俺もスキルを使用する。




