『206』
『206』
誘拐された娘が帰ってきて嬉しがるので、やはりアスカは帰ってきて良かったと思う。
親であるし、心配しただろうことが伝わる。
「ちなみに私もオリオンの破滅の団にいました大神官リアンです」
「えええ、あの大神官リアンでしたか。確かに勇者パーティーにいると聞いていましたが、どうしてここに?」
「今は勇者パーティーから出てきてロメーロといます」
「大神官リアンを連れるロメーロは凄いな。娘のアスカが助けられて幸運だった。ご苦労だったがアスカはもうエルフ国に帰った。ロメーロと大神官リアンは2人で冒険をするのかい?」
「違います、違います父さん!!!!」
「違うとは」
国王は父親であるからアスカがエルフ国に残るだろうと思っている。
でもアスカは直ぐに国王の話を否定する。
ああ、やっぱり、俺と一緒に冒険するとか言うのか。
「私もロメーロ様と冒険します。エルフ国にはいません」
「何だって、国に残らないと。国に帰って来たばかりだろう」
「はい、帰りました。だけど私はロメーロ様と一緒に冒険します。いいですね父さん」
「むむむ、アスカがせっかく国に帰ったのに直ぐに出ていくとはな。しかしロメーロがいるなら不安はないか」
「ありがとう」
「ええっ、国王、認めるのですか?」
意外にも認めるので俺は聞いてしまった。
絶対に止めると思ったが。
「アスカが認める男なら、任せる。父親としては止められない」
「わかってくれたのね」
「ロメーロは国王にも認められたようね」
「喜んでいいのやら」
国王は俺とアスカが一緒に行動をするのを任せると言う。
それだけ娘を信頼しているのか。
俺の予想ではアスカが俺と行動したいとわがまま言うのを国王がダメだとはっきりいうのかと思っていた。
予想外の展開だった。
アスカとは一緒に行動が決まった。
そして話は長老にいった。
一番の重要な部分であり、俺とアスカのことなど余計な話でしかない。
「国王、お久しぶりです」
「これは長老、久しぶりだ。ダークエルフの中に魔族がいて、そいつら魔族がエルフ国を奪う計画だったと聞いた」
「はい、ダークエルフの村に隠れて潜んでいました。気付きませんでした。ただロメーロが来て、すべて解決した」
「父さん、そのことは私から話すわ。ロメーロ様のことはありがとう。それと最も重大なのがダークエルフ達です。カイザール国でダークエルフのチークに会いました。彼女はロメーロ様を探していて、協力して欲しいと頼んだの。ロメーロ様は協力すると約束した。私はその時はチークを疑っていたの」




