『2 勇者パーティーを追放2』
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『2 勇者パーティーを追放2』
冒険者ギルドのテーブルで罵倒される俺は一番に気になったのは大神官のリアン。
彼女はいつも俺を影で見ている風に思えたし、どこか俺を監視している風にも感じた。
それは俺が役に立たない、単なる補助要員とし、どれだけパーティーに貢献しているかをはかっていたのだろう。
そんなことに気づかずに勇者の為に俺は尽くしてきたわけで、これ程の貢献をしてもなお、追放する勇者には何も言うべき言葉はない。
もはや、どうにでもなれと言ってやりたい。
なにしろ、俺は貢献していたのだからな。
貢献していないのでなく、お前らが貢献しているのを見逃していたのだ。
偉大なる全知全能な器用富豪スキルを、役に立たないと言いのける無能さ。
世界の常識を超える存在になった俺を理解できる知能がたりなかったわけだ。
残念であはると思うのは、もう少し知能があると思っていたのであり、俺の全能な力にまるで気づくことなく、追放と言い放った。
そこを見逃している勇者どもに俺から残す言葉はなくて、むしろ呆れたわけだ。
「よくも偉そうに言えるな」
「なんだとロメーロ。偉そうに言っているのはお前なんだよ。追放される立場をわきまえろよ。バカ」
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「器用富豪スキル、敵全体速度1000倍減少」
『器用貧乏』遅らせる Fランク
↓
『器用富豪』敵全体速度1000倍減少 SSSランク
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俺は賢者が攻撃しそうな雰囲気になり、実際にパンチをしてきたので回避した。
なぜ回避できたかは賢者の動きを1000倍遅くしたからで、止まったようにゆっくりと見えた。
「ええええ! どうして回避できたんだ?」
疑問に思っているが説明して理解できるか。
ボーデンはバカ呼ばわりしてきたから回避して僧侶ハニーは、らしからぬ汚い言葉で、
「そうだ、オリオンに失礼だ、土下座しろロメーロ。恥をしれ!」
なんと僧侶ハニーは俺に向かってコップの水を投げてきた。
水が俺に振りかかって来る。
そこでまた器用富豪スキルを使う。
ー--------------ー--
「器用富豪スキル、水属性耐性1000倍上昇」
『器用貧乏』防水 Fランク
↓
『器用富豪』水属性耐性1000倍上昇 SSSランク
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「ええええ! 水に濡れない?」
「水をかけるとは失礼な僧侶だな」
水の耐性スキルで1000倍であるので、俺には何もなかった。
衣服も濡れていないのをハニーは不思議に思っているが。
「オリオンに失礼だぞ。キサマごとき、補助の冒険者が。器用貧乏しかない、無能スキルしかない!」
ここで感情を出して来たのがタンカー役のクランク。
彼は22と少し年上なのに、勇者のオリオンには逆らわない性格で、強い者にはまかれる性格だ。
体格はいい。
とにかくデカいのが特徴であるものの、デカいしか特徴がないともいえるのは、本人には言っていない。
言ったらブチぎれるだろう。
タンカーの強さでは国家最強の強さという噂もあるほどに強い。
戦闘中には必ず恐れずに前衛となり、オリオンやボーデンの盾となる人材で、冒険者パーティーにはタンカー役がいると重宝される。
彼がいるのといないのでは、戦況は大きく変わる場面を何度も見てきて、貢献度はあったのは俺も認める。
パーティーには彼のような盾役で必要なのである。
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「器用富豪スキル、物理防御力1000倍上昇」
『器用貧乏』守り Fランク
↓
『器用富豪』物理防御力1000倍上昇 SSSランク
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クランクが攻撃してきたんで、直ぐに器用富豪スキルを使う。
物理防御を1000倍にした。
元の防御力は低いが1000倍であるから、鉄壁である。
最強の体であっても痛がる。
「なんて硬い体なんだ、ロメーロさては衣服の下に金属を着けていたな」
「ただの服だよ」
「ロメーロ、土下座しな!」
勇者オリオンが今度は怒って俺にろうそくの火を投げてきた。
当然に俺は衣服から燃えてしまう。
皮膚も上半身から下半身まで燃える。
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『器用貧乏』冷やす Fランク
↓
『器用富豪』火傷治癒1000倍速 SSSランク
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いくら土下座させるにしても酷い扱いだな。
ただ器用富豪スキルの火傷治癒1000倍ですぐに元の状態に戻す。
皮膚は回復する。
熱かったのは一瞬だった。
「ええええ! 確かに燃えたよな?」
「俺が、土下座? なぜ土下座する。もうパーティーから追放したのだろ俺を。命令される義理はないだろ」
もう追放された後だ。
仲間ではなくて、元仲間である。
聞く耳を持つかは、俺の勝手だろうに、なぜいつまでも要求するのだと、つい言ってしまうほどに、あきれた。
仲間の時はこんなひどい罵声はなかったが、急に態度がこうなったのは俺が無能な器用貧乏だかららしい。
以前から俺を追放する計画があったと思えるし、その日が今日なのだと感じる。
この日まで俺は気づかなかったが、それは俺が悪いとは思いたくない。
いや今なら間に合うから、全て嘘だと言ってくれないか。
嘘なら俺は許せるし、またこのパーティーで、世界を変えうる偉大なる器用富豪スキルで貢献できるのだから。
魔王討伐も夢ではないはずだったのに、それが自分たちでぶち壊すとは、どんな脳みそしているのか。
勇者パーティーなら魔王討伐は義務だろうとして、全能なる器用富豪スキルなしで、果たして達成できるかと問いたいくらいだが、どうやらその気はないらしい。
「無能の器用貧乏男のくせに、無能スキルしかない能なしだわ!」
「追放されたのが気に入らないわけ、ならオリオンさ、説明してあげなよ。追放する理由を」
「納得したいのだ俺は。追放されるなら、それだけの理由を。教えてくれてもいいだろう?」
「あはははは、追放される理由が聞きたいて、思ったよりバカか。とりあえず世話にはなったから、お前の悪口はあまり言わずに追放してやったのに、自分からちゃんと説明してかよ、どこまでバカなの。まぁいい、教えてやろう、勇者の俺が」
「頼む」
勇者のオリオンが強い口調になった。
それでは何か、俺に気を使ってくれて、傷つかないようにしていたのか。
ありがたい話だ、オリオン。
しかしありがたいよりも、俺はオリオンの口から聞きたいのだ。
どんな内容を話すのかを。
この最強であり偉大なる力の器用富豪スキルのどこがダメなのかを説明するらしい。
とくと俺は聞いてやろう。
世界に発信してもいいくらいだ。
周りには冒険者パーティーが多くおり、オリオンの話に注目している。
オリオンが直接話し出して、
「クソやろう、話してやろう。俺らの破滅の団は最初はロメーロを雇った。雇った時はまだSランクではなく、下級ランクだった。あの時は俺達はみんな未熟だったのは認める。みんな必死に頑張った。ダンジョンにも行った。難易度の高いダンジョンでは苦労した。しかし、現在はその苦労のかいもありCランク、Bランク、Aランク、そしてSランクパーティーになった。驚異的な速度とギルドからは賞賛されたのはお前も納得するよな?」
「ああ、オリオンの説明したとおりだ」
説明してやろう、話した内容は全部俺が『器用貧乏』から『器用富豪』に進化したからだ。
まだわからないのか。
どうやったら、逆に理解してくれるかな。
理解できる脳がないなら、説明しても無駄ではあるが、そこは一緒に冒険した仲間であるから、俺は待っていたのだ。
俺の力を認めてくれる日を。
それが来る日はなかったわけか。
今日まで待ったのに、残念であるし失望でもある。
魔王すら、神すら超えるだろう力の存在を俺が進化したから、急激に成長してSランクパーティーになれたことを。
「しかし振り返ってみて、みんなで相談した。Sランクになってみて、振り返った。そして疑問が生まれる。ロメーロは本当に必要なのかと。荷物持ちや回復薬を準備したりと雑用係もこなした。そして指圧スキルで、毎晩に疲れた体を癒やしてくれた。おかげで体力は回復して、傷も癒えた。だが必ず必要かと言われたら、答えはノーだ。Sランクになった俺達は新しいステージに行く。魔王の討伐や魔族とも戦うステージだ。そのステージにお前みたいな指圧スキルとか要らねえのよ。補助しか出来ない仲間はもう用済みなわけよ。わかるか、お前に。俺達は進化したんだよ、国家から期待されたパーティーなんだ。つまりは役に立たないスキルで、もう追放しかないんだよ! あはははははは!」
長々と説明して最後には魔法を打ってきた。
おいおいここは冒険者ギルドで、冒険者と冒険者の戦いは禁止のはず。
しかしオリオンは火魔法を放ってきた。
さすがにみんなが見ているし、下級の魔法である。
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「器用富豪スキル、魔法防御1000倍上昇」
『器用貧乏』魔法壁 Fランク
↓
『器用富豪』魔法防御力1000倍上昇 SSSランク
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「あれ、なんで火魔法が消える、おかしいな今日は調子悪いのかな」
火魔法はスキル1000倍の防御で簡単に防いだ。
これだけ俺のスキルを見ても、まだ俺の偉大さがわからないのかな。
オリオンはギルド内にも関わらず、ギルド中に聞こえる声で俺を罵倒し攻撃した。
これが罵倒じゃなかったら、何が罵倒なのか教えて欲しいくらいに。
よほど俺が嫌なのか、オリオンは言い終えると、スッキリしていた、そりゃそんだけ大声で言えばスッキリもする。
言いたくて言いたくて、ずっと我慢してきて、それを今、全部口から吐き出した感じだった。
罵倒する快感を得て、俺を罵倒することで、絶頂な気分だろう顔だ。
俺を見下して、自分が神にでもなった気分だろうか。
オリオンが俺をマウントを取るならとるがいい。
マウントを取ったつもりが、それは地獄の始まりだということを知ることになるが、俺は知らないぞ。
「邪魔なんだよ。トラブルなく追放してやるんだ、何も言わずに去れよ!」
「指圧は良かった、街で指圧士にでもなれよ、案外儲かるかもよ、器用貧乏。あははははははははは!」
ハニーは俺に対して連続で皿を投げてくる。
投げてきた枚数は10枚。
しかも本気で強く投げてきた。
ギルドには酒や飲食もできる。
皿もテーブルにあったのを投げてきたのだ。
このままなら俺は皿で大ケガする。
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「器用富豪スキル、速度1000倍上昇」
『器用貧乏』小走り Fランク
↓
『器用富豪』速度1000倍上昇 SSSランク
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速度を1000倍にすると、投げてきた皿を落とさずに全て受け取りテーブルに置いた。
人にできる速さでないのは明らかな速度で。
綺麗に並べるとハニーは、
「ええええ! どうして皿が!! 私は投げたよね?」
僧侶のハニーは大笑いしたが、並べると不思議に見ている。
可愛い顔をしているのに、腹は黒いな。
ハニーが何て言おうと気にはしなかったし、勇者のオリオンなど聞こえても聞き流した。
それと大賢者のボーデンに至っては何を言ったかさえ覚えていないかな。
なぜなら俺はリアンを見ていたからだ。
大神官にして最高の美女とも称されるリアンを。
彼女は何ていうかを待つと、
「ロメーロはこのパーティーに居なくていいよ。早く出ていきなよ。私も賛成する………」
大神官のリアンまで賛成か。
彼女は他とは違い、声のトーンは低い。
追放すると言っているが、どちらかというと、出た方がいいよみたいにも聞こえたのは、俺が都合良すぎるか。
次に大賢者ボーデンが、
「特別に攻撃力もない。魔物に対しても一度も攻撃したのを見たことない。いつも後方にいて、補助作業。テントを作るのが仕事。食事も用意する。それしか出来ねえじゃねえか。もう要らねえんだよ! ウインド!」
賢者らしからぬ言葉。
そしてボーデンは魔法で風を送り込んでくる。
おいおいここはギルドで室内なのに風魔法は危険過ぎないか。
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「器用富豪スキル、通風1000倍上昇」
『器用貧乏』風通し Fランク
↓
『器用富豪』通風1000倍上昇 SSSランク
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風魔法を防御せずに俺の体を通り抜けさせる。
そのため風は俺を回避して、ギルドの壁に激突。
壁を破壊してしまう。
「ええええ! 俺のウインド魔法が回避されちゃった」
ボーデンは思いっきり吐き出した感じだ。
ここまで人に罵声を浴びせるのはどんな気分なのか。
考えたくもないが、俺は我慢して聞いたものの風魔法が効かないのに驚いている。
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