『196話 ダークエルフ村70』
『196話 ダークエルフ村70』
アスカがなぜかリアンの名前を出したので、リアンは、
「ええっと私が原因なの?」
「二人きりにするのはとても危険です」
危険て、なんだかもう俺にはどうでもいい話になった。
さっさと村を出たい。
どこかに行きたい気分だ。
「私はロメーロと居る。ロメーロは想像以上だった、とっても器用富豪が素敵だった。私はオリオンの所には絶対に帰りません。ロメーロを選びます」
ええっと、リアンもよく言ってる意味がわからないところがあるが。
俺を選ぶと言った。
まさかの展開だ。
これではアスカの疑いが拡大する。
事実アスカの様子がおかしい。
「やっぱり、ロメーロ様を狙っている。私はロメーロ様の婚約者なのですよ」
待て、俺は一度も認めてないけどな。
エルフ国に行くと強引に結婚させられそうだし、マズイな。
予定としては、次の行き先はエルフ国を外そう。
「婚約の話は本当なの?」
リアンは俺の方を向いて聞いてきた。
「俺は認めてない。それに俺の目的はエルフ国ではない。他にある。アスカもリアンも俺と一緒にくればいい。どっちがいいとかではないぞ、俺の器用富豪はアスカとリアンだけのものではない。この能力は世界を救うべく俺に授けられたと考えている。まだ世界には器用富豪を必要とする人々がどこかにいるかもだ。もし本当に困っていて、俺を信じて、俺を必要とするなら、俺は器用富豪の恩恵を与える。それが俺のやるべきことと思う」
こう言っておけば、とりあえずアスカもリアンも納得するだろうという考えではある。
二人とも俺には必要だという感じで言った。
「器用富豪を世界のために使うのですか。オリオンとは違うわ。オリオンなら自分の為に使う。オリオンは自分が世界の中心だから」
「オリオンと俺の違いか。なんとなくわかる」
「オリオンに器用富豪を使うのは世界をダメにします」
「そこまで酷いのですか、オリオンは。勇者でしょ」
「勇者でも、偽者の勇者だわね。ロメーロが破滅の団に入ったのは間違いだったのよ。他のパーティーに入るべきだった」
「俺も特に考えずに破滅の団に入ったからな。そこは俺のミスだったのかな。でもオリオンやボーデンには成長して欲しいと思っている」
「それは無理な願い。もっと評判を落とす。見てればわかる」
「リアンはオリオンが嫌いみたい」




