『195話 ダークエルフ村69』
『195話 ダークエルフ村69』
「よいよい、ロメーロ様と私を引き離すのはいけません」
「誰もそんなつもりはないですが」
「アスカのロメーロに対する気持ちは異常ね」
グリフォンは暴れられないのでチークに任せても大丈夫で、これでエルフ国も平和になるのは決まったが、問題はアスカか。
本来ならアスカはもう国に帰るべき事態であろうが、本人が俺と一緒にいるといい、帰らないのが困る。
その点はまた確認しておくのがいいので、
「アスカ、チークと一緒にエルフ国に帰ったらどうだ。国王も心配しているのだしな。国からさらわれて、そのまま帰っていないのは異常な事態だぞ」
「ロメーロ様がエルフ国に行くなら行きます。行かないなら行きません」
「どんな理由だ。俺を困らせるなよな」
「だって離れてたくないもの」
「そういってもな。俺が怪しまれるのも嫌だが」
「大丈夫です。国王はロメーロ様を犯罪者にはしませんから」
「本当か」
娘を返さない男を許すだろうか。
絶対に俺を怪しいと思うだろう。
「私は疑問ですね。エルフの国王からアスカの捜索依頼が各国のギルドに出ると思う」
「グリフォンを討伐した最大の功労者です。ロメーロ様に失礼ですわ。父親でも許しません」
「面倒ごとになりそうよ、ロメーロ」
「なりそうだな」
やはり回答は俺の予想通りか。
必ず俺と離れないのがアスカの難点だな。
しかも国王が俺に依頼を出すとか最悪だな。
それを聞いているチークは、
「アスカ皇女とは知りませんでしたが、国王が心配しているなら一緒に帰りましょうよ?」
「帰りません!」
「理由は?」
「なぜかって………リアンがロメーロ様と一緒になる……から」
どんな理由だ?
それがダメな理由を教えてほしい。
俺とリアンは何も関係はない。
アスカが疑うような関係は全くない。
しかしアスカの中ではリアンはライバルと認識していると判明した。
疑われたリアンは、困惑した顔している。
いきなり敵視されたら、困惑するのも無理はない。




