『22』
『22』
「くくく、そこか、そこに気づいてきたか、どうせ私に食されるのだ、教えも無駄なことだが、聞きたいなら教えてやろう。私のいるこのダンジョンに、実はある人物を隠してある。その人物は重要な人物だ。だから勇者パーティーが来るのは決定的なのだよ、お前は勇者じゃないなら残念ではあった。大神官がいない。勇者パーティーに大神官がいると知っているからな」
「勇者パーティーより先に来て悪かったな。俺は勇者じゃない。大神官も連れていないのだ。つまるところ、エサはなんだ?」
グールがエサと言うと、気持ち悪いのは俺だけか、いや俺だけではないだろう。
つまりは何かしらのエサを用意してあり、それを知った勇者パーティーがここに来る予定らしいと聞こえた。
骸骨のくせに考えることが小さいな。
自分から勇者パーティーの所に行けばいいだろうに。
この強さなら余裕で勇者パーティーでも騎士団でも駆逐できそうだが。
「エルフ族のアスカ皇女だ。アスカはまだ若くても第一皇女。アスカを私は連れ去るのに成功した。もちろん狙いは勇者パーティーだ。エルフ族の国は大騒ぎだ。第一皇女がさらわれたのだ、直ぐにエルフ族の冒険者に連れ戻す命令を出したのは当然だ。それと冒険者パーティーにも依頼を出した。そこは予定通り通りだ。勇者パーティーに依頼をすれば確実に依頼を達成するからな。それで勇者パーティーがこのダンジョンに来るように情報も流した。そしたら先にAランク冒険者も来たらしいな。勇者パーティーには大神官がいるだろ、オークキングらは喜んでダンジョンの守備に来たのさ。ただ自分で勇者パーティーらを倒して食すのもいいが、自分で倒すのはやりたくないのだよ、わかるな」
「自分で倒すのは嫌か。魔力を使うからだろ。魔力を使えばお前の論理からすると老化する。老化はしたくない、むしろ若くなりたい、そしたら自分で手を下すのは避けて、オークらに勇者パーティーを殺させる仕掛けか。その後に食す。そんなところか」
グールの頭ならその程度の考えだろうと勝手に思って言った。
エルフ族国は大国であるし、次の王女になる人物なら勇者パーティーに依頼もあるか。
そういうのは頭が回るのは褒めてやるが、俺が来たのは残念であり想定外。
オリオンだけなら確実に死ぬ相手だから、俺が先に来て良かっただろう。
オリオンは俺に感謝すべきだが、もう会うことはないから感謝はないか。
オークキングやジェネラルも強いが、まぁ俺を追放したオリオンならここまで来ることはなくて、オークキングらにあっさり殺されて終わりか。