『184話 ダークエルフ村60』
『184話 ダークエルフ村60』
リアンですらまだ俺の最強の能力を完全には理解しきれていないのがわかる。
リアンが理解できないのだから、他のアスカやチーク達はもっと理解できないでいる。
器用富豪には俺の知らないスキルもある。
数多くあるので使いこなせていないのであって、おそらくは一生かかっても全部を使うことはないと思う。
それほどにスキルが揃っている。
追い込まれたグリフォンが飛行して逃亡するのを、どうやって追い詰めるか。 もう限界に達している俺は、特に厳しい。
なるべくなら、飛行する前に討伐したかったのが本音だった。
しかしダークエルフに討伐させると決めたのは俺自身だった。
最後までダークエルフ達に任せるのは変えたくはない。
俺は限界まで支援するのみだ。
「おい、ロメーロ、俺たちダークエルフは移動するからな!」
「行っても無駄だ。追いつける速度ではないだろう」
「確かに、飛行に追いつくのは全力で走っても無理か……」
「じゃ、どうするのだよ?」
「もう少しで倒せそうだったのにな、残念だな」
「惜しいな、もう少しだったぜ」
悔しがるダークエルフ。 本人らも倒せそうな手応えはあったらしい。
「心配は要らない。最強の器用富豪ならば、グリフォンを逃しはしない。これからが最強を証明する時だ」
「また器用富豪を使うと?」
「俺の存在はキミが一番知っているだろう」
「でも、グリフォンは見えないし……」
リアンはたぶん俺の体を心配したのだろう。
あまり使いすぎると苦しむのを知っているのだな。
確かに、グリフォンはゆっくりではあるが、人が走るよりは速度はある。
もうすでに遠くにいて、村からは遠いところまで行ってしまった。
「急いでくださいロメーロ様!」
「わかったアスカ、器用富豪スキル、瞬間移動、グリフォンまで」
「まさか、あの移動を使えるの?」
「そのまさかだ。俺の最強をグリフォンにわからせてやろう」
瞬間移動を使う。




