『21』
『21』
なんだこいつ、自分の興味のためにAランク冒険者を呼びこんで始末させたのなら、放置するのは極めて危険だな。
始末するのは確定だ。
ここで俺が始末する。
まあ、オリオンなら美容に利用してもいいが。
「そのつもりだ。ああ、若いっていいね」
「知らん。ただなぜ冒険者がここに来た。しかもAランク級の冒険者がだ。普通はもっと低いランクが来るだろ。例えばDやCランク冒険者あたりが」
引っかかるのはAランク冒険者てのは数が少ないので、クエスト依頼も、危険性の高い、極めて限られた地域に送られる。
それがこんな誰も入っていないダンジョンに来たのが気になるのだな。
他に行くとこあっただろうに、なぜここに。
「エサだ。エサを用意したこのダンジョンにな。そのエサにつられてAランク冒険者が来たのだろう。それをオークに倒させてだ、私が食す。くくくく、早く食すから、お前も食すぞ。お前を食したら、私はきっとピチピチの若い頃の私に戻るはずだ。くくく」
「冗談だろ。俺は食っても美味いとは思わないが。それと聞いておくが、なぜAランクの冒険者が来たのかもわからない。それと大神官をオークキングらが喜ぶのもわからないが。大神官が来る確証はないだろ。それなのにオークキングやジェネラルが集まっだのは大神官が目的だろ。大神官が来るのが初めからわかっているように聞こえる」
そこが一番引っかかる部分だったのであり、大神官リアンか、なぜリアンがここに来ると言い切れるのか。
大神官リアンはオリオンらの勇者パーティーにいるはずで、この国にはいない。
たぶんエピック国にいるだろうから、わざわざこの国にまで来る理由がないのだが、グールマスターは、オークキング達を集めた。
何か理由があるはずだな、オークを集めるだけの理由が、それを隠している俺に。
それを聞いてから殺すか。
理由を話すかはわからないが、聞いておくべき理由だ。
俺はカイザール国にきて、ゆったりと暮らそうと考えていたのに、とんだ話に遭遇したものだ。
偶然にも王都でこの森の件を聞いたのが始まりだったが、聞いてよかった。
もしかしたらオリオンらとも繋がりうる可能性も感じるし、そうなると奇妙な繋がりとなるな。
どちらにせよ、グールてのはアンデッドだから若い頃とかと言ってもアンデッドだろうと思ったが、俺に隠し事は良くないな。