『158話 勇者オリオン視点』
『158話 勇者オリオン視点』
「でもよ、オリオンが嫌でも俺は考えてもいいかな。ロメーロが実はSランク級の強さだったと反省して言えば、ロメーロだって復帰してくれるじゃねえ?」
「お前、それでも最強の縦と呼ばれるクランクかよ、恥ずかしくないのか」
オリオンはクランクに怒りをぶつけたのは、プライドがあればロメーロを復帰させたいなんて言えるはずないのだ。
ボーデンに続けて言ってきたので我慢できなかった。
いや、言うのは止めようとしたのに制御できなかったのだった。
ただクランクもプライドはある。
最強の縦とも呼ばれるクランクはいつも犠牲を払って頑張ってきた。
一番の犠牲を強いられても、破滅の団の為ならと我慢した。
そうやって破滅の団を勇者パーティーにまでしてきたと思っていたので、オリオンの言いぐさにはちょっと頭にきていた。
ここでケンカするのは良くないとクランクはわかっているので、オリオンに食いつくことはしなかったものの、今度言ってきたら許せないとも思う。
逆に縦役のクランクに感謝すべきだろうとさえ思うのに、オリオンはクランクを軽く思っているように思えた。
ムカッと来るも抑えた。
「恥ずかしくないとかの問題じゃないかな。現実的な問題だ。これは破滅の団が、勇者パーティーでいられるかの瀬戸際の問題なんだよ。オリオンは現実を見てない」
「わかっている!」
「わかっていないわよ。ボーデンにもクランクにも文句言ってる」
「うるせえハニー。お前はしっかりと回復魔法をしろよ。できてねえだろ」
「なによ、私にも文句を言うの?」
「回復できていたら、クエストの結果は違っていた」
「ちょっと、私の責任で失敗したと聞こえる。本気で言ってるのオリオン?」
オリオンに文句を言われて、引き下がれないハニー。
まるでハニーが悪いと聞こえたからだ。
「いや、その、違う。そういう意味じゃない。ハニー、わかるよな」
「わかりません。私と争うとしか聞こえないですね」
「ハニーに謝れよオリオン」
「わ、わ、悪かった」
「いいわよ」
素直ではないが謝るオリオンに周りからはまたも失笑が起こる。
「うぶぷぷ」
「くく、ぷぷぷ」
「ひひひひひ。ぷぷぷ」
「うるせー、帰るぞ」
周囲の冒険者には頭にきたが、ケンカするのも不味い。
ギルド内でケンカは不味いのは、また噂されるからだ。
周りの冒険者が見ている手前、失笑した冒険者にケンカをするのは、いっそう悪い噂が広まる。
ちくしょー、ロメーロ目、アイツの顔を思い出すたびに、ムカつくとオリオンはロメーロを憎む。
必ずロメーロには俺の苦しみの何十倍もの苦しみを味合わせてやると意気込んだ。




