『151話 ダークエルフ村34』
『151話 ダークエルフ村34』
グレムリンが去った後に森は静かになった。
物音しないし、獣の音もない。
静か過ぎて逆に異様だった。
魔力を感じる、森の奥からか、強大な魔力が迫ってくるのを感じる。
グレムリンの魔力ではない、あんなのとは違う、明らかに強大である。
森の獣達が騒ぎだしているのか、群れで走っていった。
グレムリンが俺のことを報告しに行っているので、直ぐに結果は出る。
チークは引き続き下がってもらう。
とても戦える相手ではない。
「ロメーロ、森の奥に何かいるのかな。ちょっと不気味ですよ」
「大丈夫だ。俺の背中に隠れていろ。グレムリンとは違う。もっと強い魔族だろう」
「怖い。森にそんなのが潜んでいたとは」
チークも感じる程の魔力が来ていて、俺の背中に隠れて怯える手は震えていた。
すると森の奥地から突然大型の影が飛び出て、巨大な影が俺の近くまで飛行してきた。
飛行する魔物か、それも巨大だ、ドラゴンか?
「あれは、なんでしょう? 私の上空にいます」
「俺にもわからない、だが危険種の魔物なのは確かだな。大型で魔力も巨大であるのが伝わる」
「飛行してきます、あっ、そのまま通過した!」
「不味いな、向かったのは村の方だ。村に戻ろうか」
「えっ村に! 大変です。村が危険です」
「俺の予想と違った。予想では俺とここで戦うと思ったが。まさか俺の上空を超えていくとはな」
「どうしましょう! 間に合わない」
飛行してくる魔物は、俺と戦うのかと思ったら、俺の頭上を通り越してしまい、村の方に飛行した。
村はアスカがいる、危ないので、直ぐに俺とチークも村に戻るしかない。
まさか上空とはな。
それは考えもしなかった。
ただ心配は要らない。
チークは焦っているが、心配はしなくていいのだ。
俺はグレムリンと上空の魔物には負けない。
チークの心配はわかるが、俺はチークの考えを超えているんでな。
考えなくてはいけないのは、なぜ俺がここにいるのに、俺の上空を抜けて行ったのかだ。
抜けていく前に俺とチークを消すと予想していたので意外だった。
なぜ俺を消さないのかだ。




