『142話 ダークエルフ村25』
『142話 ダークエルフ村25』
正体を見たなと、気持ち悪い言い方してくるので吐き気がしたが、いかにも見られたからには殺す的な感じだ。
だが死ぬのはお前の方であり、それがわかっていないなら、すぐにわからせてやろう。
相手が普通の冒険者ではないとな。
すでにイフリートスも死んでいる。
そこらのザコでは俺は倒せない。
まあ俺のステータスはレベル1のままだから、弱いと思うのも無理はないけどな。
「つけてみたら、やっぱり魔族か。それでダークエルフに変身していたのは、なぜか言え」
「ふふふふ、アホかお前は。これから死ぬ奴に説明して意味あるかよ」
「俺が死ぬ? まだ理解できてないのか。お前は俺を理解していない」
「理解だと? 人族がなぜいるか知らんが、運が悪かったな。俺様の正体を見たなら死ぬしかないからだ」
「いや死ぬのはお前の方だ」
「ぐはははは、笑わせるな。人族に負けることはない。それにあのお方もいるしな」
「あのお方? やはり誰かいるんだなこの森には。教えろ」
「教える必要はないのは、この場で死ぬからだ。村に逃げても無駄だ。逃がさない。横にいるダークエルフの女も逃がさない」
「よくしゃべるな」
俺の器用富豪スキルという存在にも、魔族なのに気づいていないとは、魔族なら少しは気づいて欲しいところだが。
話させないなら、力づくで話させるしかない。
それは面倒であるため、できたら直ぐに話してもらいたい。
しかしこの魔族を見ると、そうも言ってられない感じである。
ただグールマスターを見て逃げたのは失態で、グールマスターを見て恐怖した証拠を自分で言っているのと同じだからだ。
グールマスターよりも遥かに弱いと言ってる時点で、負けだとわかっていないらしい。
怯えたように逃げた時点でグールマスターよりも弱いといっているのと同じだ。
俺に対して偉そうに言っていられるのも今のうちだ。
「ふふふふふふ、人族かお前は。少しだけ教えてやろう。俺の名前はグレムリン。好きに変身するのを得意とするのだ。ダークエルフに変身していたのはバレなかっただろ。凄いだろ。この変身スキルがあればいずれは魔王様にも認められる。魔王様に会うためにも、エルフ国とダークエルフを戦わせるとなった。ぐふふふふ、ダークエルフは、まんまと国から追放されたのは俺のしわざさ、ぐふふふふ」
自分から話してくれた。
こいつがダークエルフが魔族と協力していると見せかけた犯人だった。
バカなのか、全部自分だと話してくれて助かる。
それとも全部話せるのは、あのお方がいるからか。




