『141話 ダークエルフ村24』
『141話 ダークエルフ村24』
「いかにも怪しいです。それにあんなエルフがいたかな、私は記憶にないかな……」
チークも怪しくなっていた。
「チークが記憶がないなら、間違いないな。あいつはダークエルフではないだろう」
「ええっそれでは何者でしょう
」
「見ていればわかる。俺が言わなくても、直ぐに正体を現すさ。鑑定スキルでも話わかるがあえてしなかった。向かった先がもっと怪しい。鑑定スキルでは向かった先がわからない。そのままわからずに終わってしまうのが不安だった。だから俺は鑑定スキルは使用しなかった」
「なるほど、鑑定スキルで簡単に正体をあばくよりも、逃がしたら、その先にもっと大物がいると」
「たぶんいると俺の予感がする。しかも嫌な予感が」
「嫌な?」
「ああ。なんとなくだが、グールマスターだったりオークキングだったりイフリートスだったりと。その感覚かな」
あの時も直感があった。
とてつもなく強大な予感だった。
まさかこの村にもいるのか?
ガブレラ神が俺に頼む魔物が。
だとしたら、これは器用富豪スキルが導いた道となる。
倒すべく相手。
邪悪な魔王と邪神の幹部クラスか。
または魔王が居ても不思議はない。
器用富豪スキルが進む先には魔王がいるのだから。
ここで激突してもおかしくないのだ。
ガブレラ神なら、それくらいは俺にやらせるかもな。
それでいて、自分はのんきなものだ。
「げげげ、イフリートス!!」
「まあ、行ってみればはっきりする。俺の予感が間違っていればいいのだが」
たった一人で走っていくダークエルフは、いかにも怪しさであり、追いかけてくれと言わんばかりだ。
森についてから、そのエルフは走るのを止めて止まったら、辺りを見回して誰もいないのを確認する。
もう完全に誰かを探している風だった。
きっとこの魔族に命令していたのがいるな。
「いや〜〜〜まいった、まさかあのグールマスターが来るなんて聞いてないからな、危うく俺まで殺されるところだったから、逃げて正解だ」
ダークエルフはそう言うと、姿はエルフから魔族の姿に変えた。
魔族の正体はバレたな。
これでダークエルフが魔族と繋がっているのは、魔族の陰謀と確定だ。
ダークエルフにはエルフと争う気はないと断言できる。
「あっ、あれは魔族!」
「誰だ! そこに誰かいるな!」
「しまった……ロメーロ、つい声を出してしまいました。どうしますか」
「隠れる必要はない。もう姿は確認したのだからな」
魔族の姿にチークは思わず声を出したのを聞いたので、俺たちの存在は魔族に知られた。
もう姿は思いっきり現しているので、十分である。
バレてもいいし、きっと大物の魔物が控えているのも姿を現す。
ダークエルフの姿に変身していたのは一人の魔族で、俺とチークに慌てる。
「誰だっ! 人族とダークエルフの女か。ふふふ俺の正体を見たな」




