『129 ダークエルフ村13』
『129 ダークエルフ村13』
「わかった、話を続けるが、エルフ国は間違いをしている。正さなければならない。あの国王の考えをかえさせないといけない。一方的に我らダークエルフを敵対視したのだ」
「いいえ、エルフ国王は正しいです。ダークエルフが間違いです」
「ええっ、キミはダークエルフだよね。どうしてそんなにエルフ国の肩を持つのだい」
「あっ、肩を持っていません。話を進めてください」
アスカは自分がダークエルフなのが認識できていないようで、確かに今まで姿を変えたことは人生で経験なかったので、怒るのは可愛そうか。
そろそろダークエルフなのが疑われるよな。
ただ長老から聞いたのは、魔族と関わって協力してエルフ国を潰すというのは全く違うと聞いた。
じゃあなぜアスカの親の国王はそんな嘘を信じたのだろう。
「まあエルフ国王が我々を信じてくれたらいいのだ。しかし国王は全く信じていないし、我々が魔族と一緒にエルフ国を支配すると本気で信じている。困ったもので、あの国王では苦労するだろうな」
「国王は立派は人です、ただダークエルフが悪いと思ってます、そう言ってました!」
「ええっ直接に国王から聞いたみたいな言い方だよね?」
「あっ、違います、違います、たぶんそうだと思っただけです」
「まるでキミは国王の近くにいたみたいだが、城で働いていたとか?」
「そう、そう、そのとおり、城で掃除をしていたのです」
「掃除か。それなら国王の会話を聞いても不思議はないか」
駄目だなアスカは、自分がエルフなのかダークエルフなのかを混乱している感じが俺には伝わってきていて、見ているチークも頭を抱えている。
早いとこ長老の家から出た方が良さそうであるのは、そのうちバレるからだ。
「長老トラハト、アスカは気にしないで話を続けてくれ」
「なぜエルフ国が疑ったのかは、きっと魔族の企みではないかと思っている」
「企みとは?」
問題の核心だろうな。
「わかりません。ただエルフ国内には我々ダークエルフと魔族が一緒にいるのを見たと言う目撃者がおり、それが原因で疑われたわけです。もちろんそんなことはあり得ない」
長老が言うには裏切りはなくて、エルフ国側の一方的な考えらしいが、よほどのことがないと、国を追い出すことはないと思える。
「エルフ国が怒るくらいのことがあったとしか俺には考えられないですが」
「エルフ国王が怒ったのは間違いないでしょう。原因はわからないですが、魔族と会っていたダークエルフがいるのなら、この村にいるかもしれません」
「裏切り者のダークエルフがいるか。それを探すのは大変だな。もし居ても簡単には尻尾は出さないだろうからな。俺が村にいますので、その間に裏切り者がいたら、あばいてやります」




