『117話 ダークエルフ村』
『117話 ダークエルフ村』
カイザール国王都にて、イフリートスの戦いを終えて俺はアスカといた。
アスカはエルフ国の皇女であるので、俺は国に帰るのを促してはいるのだが、アスカはというと、一向に帰るのを拒むのだ。
俺がいかにエルフ国の皇女を救ったとはいえ、エルフ国の皇女を連れて歩くのは、国際問題になりかねないだろうし、エルフ国国王は俺を知らないのだ。
誘拐とか拉致した犯人と疑われたら厄介だよな。
嫌だな、疑われるのは。
面倒になるからな。
「アスカ、国に帰ったらどうだ?」
「いいえ、帰りません。ロメーロ様と冒険します。国に帰るならロメーロ様も一緒に国に来るとなります」
「なんだ、その理論は?」
よくわからない理論なので、もうその話は止めた。
アスカとは、王都にある酒場にいたのだった。
そこで俺の方に一人の女の子が近くに来るので、何かなと思っていたら、
「あなたはロメーロです?」
「俺はロメーロだが。何かな、キミはエルフだな」
「はい、エルフですが、ダークエルフでして、チークといいます」
見た目はエルフのように耳が長い、ただ髪の毛はグレーで肌はややこげ茶色をしていて、アスカとは違いがある。
歳はアスカと近いと感じる。
そのダークエルフの子が、俺に何の用事かな。
普通に俺なんかに声をかける理由なんてないからな。
「ダークエルフ?!」
「あああああっ、エルフじゃない!」
アスカがダークエルフのチークを見て驚いていると、チークも驚いてしまうのは、何か知り合いなのかと思わせる。
エルフとダークエルフだから知り合いなのかな。
「お互いに知り合いかな」
「違いますロメーロ様。知り合いではないけど、ダークエルフは私のエルフ国にとっては裏切り者なの」
裏切り者?
それは聞いたことがなかった。
同じエルフなのに物騒な話だな。
俺はエルフ国について全く情報がないから、いったい何のことかと思う。
「違うわよ! あなた達が私たちを追い出したのよ、変な理由をつけて!」
いきなり会話についていけないが、興奮しているのは間違いないのであり、俺が止める他ないな。
だが種族の争いとかヤバそうだが。
しかも声も大きくなってきて、深刻ぶりが伝わった。
イフリートスが終わってホッとしたら、今度はエルフの争いかな。
これもガブレラ神のせいなのか。




