『104』
『104』
「ロメーロ様とはお別れですね。私らは女湯ですし」
「そうだな。じゃあまた後で会おう」
俺はアスカにそう言って男湯の方に入った。
「広いな」
男湯は広かった。
さすが伯爵の所有する温泉だなって思う。
綺麗だし、中には大きめの湯があった。
さっそく湯に入り熱い湯につかった。
気持ちいいな。
イフリートスを討伐した褒美としては最高だった。
こちらこそライネ姫にお礼を言いたい。
ゆったりと湯を堪能していると、人影があった。
湯は湯気ではっきりと見えないが、明らかに人の気配だ。
しかも一人ではない。
数人の気配だ。
貸し切りのはずだが、なぜ人の気配があるか。
店主のコンチェルは嘘をつくはずもないだろう。
すると俺が一人で入っているのを知っていて来たとなる。
ゆったりとしていたのを警戒に切り替える。
静かに俺は湯で注意した。
もし俺を狙うものなら、直ぐに湯から出られる準備だった。
「ロメーロ、どうですか湯は?」
えっ、女の声?
しかもこの声は、コンチェル?
どうして店主コンチェルの声が聞こえるのだ。
コンチェルは女店主だが。
「コンチェルかい」
「はい、コンチェルです。ロメーロの様子を見に来ました。お湯の湯加減はいかがでしょうか」
「とてもいい湯だが、なぜ、キミは女だろう?」
コンチェルが俺の近くに来た。
なんと裸だった。
湯に入りに来たとしか思えない。
それともこの温泉施設のサービスなのかな。
それにしても、凄い体してるな。
「そうですが、今日は貸し切りにしてまして、しかも男湯を混浴にしました」
「混浴だって?」
コンチェルにしたと言った。
ということは、男湯に女が入れるという意味だ。
女店主のコンチェルが来たのは、そういうことか。
まてよ、混浴ということは、アスカらも。
「ロメーロ様、混浴ですので、私も来ました。いい湯ですね」
「アスカもか、しかも裸」
まさかと思った時にアスカが来た。
素っ裸だった。
俺のすぐ横に密着した。
「そういうことです、ロメーロ。私も入りますよ」
「ナミュール王女! あなたは王女ですから、混浴とかしてはいけないのでは」
「王女だって混浴ならば、ロメーロと一緒に入ります」
ナミュール王女は、このカイザール国の国王の王女だ。
いいのだろうか。
国王に知れたら、俺は重罰とかにならないかと不安になる。




