『13 オークキング』
『13 オークキング』
才能がないなと俺も感じていたのだが、器用富豪スキルに進化したことで変わって、鍛えるのでなく、ステータスを単純に1000倍にするというものだった。
物理防御力1000倍は、Aランク冒険者の防御力を楽に超えているのだ。
人の防御力と同じように見たオークキング、この地点で負けだ。
俺のスキルをAランク冒険者と同じく扱ったのが負けである。
拳が俺の直前まで来たところで、軽く受け止めた。
物理防御力上昇スキルがなければ、俺は一発で死んだだろうなと思わせる打撃力だった。
しかし平然と立っている俺にオークキングは驚いている。
当然か、常識的に言って立って受け止めるのがおかしいと思う。
「な、なっ、なぜだ。一撃で殴ぐり殺せるはずが! 持っているワシの拳を!」
「理解したか。俺に絶対に勝てないのを」
「むむむむ、まだだ、殴る!」
「無駄だ。どんだけ殴ったところでお前の拳は無意味だ」
何度も殴るけども、オークキングの拳が俺の体にまで達することはないのだ。
もっと言えば、両手で殴ったとしても同じ結果だ。
実際に何度も何度も連打してきたが、結果は変わらなかった。
すでに俺の防御力は15000に達しているので、体力の減少は少なく、オークキングはあせっているだろう。
防御から攻撃に転じる。
剣での攻撃で、剣じたいは安い剣を持っているが、攻撃力1000倍上昇により、1000倍に上げた武器にした。
つまりは剣と拳の対決だ。
オークキングは拳を回してきたのを、剣で迎えうつ。
ズドン!
剣を振り下ろした。
その後にオークキングの叫び声だった。
ぎゃあああああああああああああ!
「腕が、腕が、切れたああああああああああ!」
「だから言ったろ。俺にほ拳は無意味だと。言ったのを信じないのがオークか。仕方ないか」
拳を回してきたのを剣でぶった切ると、腕はダンジョンの奥に吹っ飛んで行った。
信じないのは勝手だが、俺の忠告を無視したからだろう。
苦しむオークキングは、まだ俺とやる気か?
俺は奥に進みたいだけだから、今なら逃げても構わないが、オークキングは逃げる性格ではないと聞いている。
まあ、俺を見ても逃げなかった時点で賞賛に値はするので、今逃げてもいいのだが。
非常に交戦的な性格をしていて、死を覚悟している魔物らしい。
オークらしいといえば、そうだが、俺に対しては完全に悪手だ。
Aランクのイカットをぶん殴って殺したのはいいが、本当は救いたかったが、死んだのは仕方ないとして、イカットと俺を比べた時点で終わっているのだ。
イカットはAランク冒険者であり、世界でも希少な数少ないのは知っていて、しかし俺はその上をいっているのだ。
しいて言えばSSSランクか。
「お前ら、出てこいい!」
「なんだ?」
「あはははは、お前は強いのはわかった。どんなスキルかわからないが、強い。しかし仲間がいるのを知らなかったのは残念だったなああああああ!」
「仲間か。オークの仲間を呼んだのか。それで俺を倒せると?」
腕を一本無くしたオークキングは、仲間を呼んだらしく、奥から姿をぞろぞろと現した。
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