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サラゴサ手稿  ポトツキ作  ポーランド貴族が書いた幻の幻想文学  岩波文庫で全訳 刊行中

作者: 舜風人

2022年9月から

この幻の


幻想文学が

なんと岩波文庫で邦訳刊行中です。

現在上・中まで出ています、


1986年代に、、

世界幻想文学大系に「抄訳」がありますが

其の後

散逸していた原稿が見つかったそうで

今回の岩波版もそれからの全訳だそうです、

そういうわけで、

期待が大きいですね


さて

この物語ですが



これはポーランドの貴族、


ヤンポトツキが1804年に書いた


千夜一夜物語風な


入れ子構造の重層的な、、


幻想的なものがたり集である。


ポーランド文学の隠れた傑作である。


原作は66日間にわたるはなしからなり


主筋から、派生した次の物語へと次々に展開していく、


重層化して、、どんどん波及していく。


まるでアラビアンナイトの物語がそうであるように、、。


現在、原作の一部は紛失・散逸しており


定本は、無いという状態である。


ただ、残っている部分からでもその膨大で


幻想的な構造は十分うかがい知れるから安堵されたい。


2000年代に入って、その原稿が見つかったそうで?

それに基づいていわゆる全61話が収められた完全版が

出版されたようですね・

今回の岩波文庫版もそれに基づいた

邦訳だそうです。


なお、著者はポーランド人貴族だが、、原作はフランス語で書かれている。

それはフランス語がまあいわば当時の共通語?だったからでしょうね?

その点はあのカザノヴァ回想録もフランス語で書かれてるのと同様でしょうね。

カザノヴァはイタリア人なのにね。



さて、、、、、、、、、、、、、


その出だしは、、


ナポレンオン戦争まっただなかのここは、スペイン


とあるフランスのある将校が駐営地の古い家の中で大きな


古い写本を発見するというところから始まっている。


興味を持ったその証拠はその写本を夢中になって読み始める。


どんなことが書いてあったのかというと、、


という出だしで始まるのであるが


このフランス人将校は導入役だけでもう二度と出てこない。



さてその写本の内容は、、、





ワロン人、親衛隊帳、アルフォンスフォンバルデンは


今、、アンダルシアから峠越えせんと


従者をしたがえて、山道を急いでいる。


この峠には山賊が横行して危険な場所であり、


途中には処刑場(絞首刑場)もあるという嫌な場所。


アルフォンスはしばらく行くと


その首つり場のわきを通り過ぎ


放置された骸骨にぞッとしながら


ふと気がつくと、


従者が居なくなっているのに気がつく。


はぐれてしまったのだ。


山道を、仕方なく一人で行くと、、


やがて彼方に一軒の古い家が見えてくる。


夕やみ迫るころおいとなり


その家に入ると、まさに廃墟である。


誰も住んでいない。


とにかくここで一夜を明かすしかないと決めて


そこにいると夜半も過ぎた頃おい、、、、扉を開けて、、一人の黒人女が


入って来るではないか。


「もしもし、お武家様、私はこのあたりに逗留しております


やんごとなき貴婦人の侍女でございます。


あなた様をぜひ夕食に招待せよとの仰せでお迎えに参りました」



アルフォンスは怪訝に思ったが、つい導かれるままに


女の跡をついていくと


案内されたのはどこにこんな宮殿があったのかというような



アラビア風な御殿だった。


そこにいたのは、、二人のアラビアンナイトから抜け出てきたような


薄物の衣裳をまとった


ムーア人の御姫様美人姉妹。



あっけに囚われるアルフォンスに



姉妹は


「実は私たちはあなたの母方の遠縁にあたる、ゴメレス家の出で


あなたとは親戚筋なのだ」


と打ち明けるのだった。


ただし、、私たちはイスラム教徒だから


キリスト教のあなたとは


大きな壁があるともいうのだった。


そして何かと歓待してくれてもてなすのだった。


すっかりいい気分になったアルフォンンスは


したたか酔っぱらい寝込んでしまうのだった。



さて、、翌日、、アルフオンスが目覚めると


そこは美人姉妹の宮殿ではなくて、、



何と、そこはあの峠の絞首刑場ではないか。


見上げると処刑されたばかりの二人の男がぶらさっがている。


え?


あれは夢だったのか?




と、、、、


こんな風に始まって、


次から次に入れ子構造的に


物語は展開してとどまるところを知らない。


これが61日間にわたって繰り広げられる。


膨大なものがたり集である。



これはその原作の抄訳が1986年代に


世界幻想文学大系に邦訳されて刊行されています。


その邦訳書は、その14話までの部分訳になりますね。



でも、それを読んでもらえば


まあ大体の雰囲気はわかるのでしょうが


何せこれは手に入れるのも難しいし、、


というわけで


おあつらえ向きに


何とこれが映画化されてるんですね。



ポーランドで1961年に映画化されています。


3時間の大長編映画ですが


それでも原作の全体を映画化できるわけもなくて


ほんの一部の映画化ですね。



でも雰囲気は十分伝わってきます。



この映画、、結構、よくできてるし、佳作出しょうね。



さて、冒頭にも述べたように、、


2022年9月から

新たに見つかった完全版原稿で

全譯が刊行中です。


2022年12月時点で

上・中まで刊行されています。

この幻といわれた「サラゴサ手稿」が

日本語で

しかも全訳で読める日が来るなんて


想定外の歓びですね。







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