第四話
ネプが悠衣さんたちと話をしてる間に、これからのことについて考えようか。
『そうだね!』
まず最終目標だ。
これは、現実世界と第二現実の統合を阻止することだ。
『うーん......思ったんだけど、別にそれ自体を阻止しなくてもいいんじゃない?』
ん?どういうことだ?
『多くの人が亡くなるような事態にならなければいいんでしょ?
なら、統合自体じゃなく、統合によって生まれる驚異自体をなくせばいいんじゃないの?
第二現実との統合自体は、そんなに悪いことじゃないんでしょ?そのせいで世界に魔物が溢れたのがいけないだけでさ』
......そうか。それもそうだな。
実際に、現実世界の第三現実化も、悪いことばかりではなかった。その他の事態が圧倒的にやばすぎただけで。
まず、世界自体が半データ化したことで、投影機によってデータを現実世界に投影するよりも、コストが安く投影できるのだ。
因みに、データを投影するときに消費するエネルギーを俺は、存在エネルギーと呼んでいる。
その名の通り世界に存在している物体それぞれに存在するエネルギーだ。
これを使えば、想像の産物でしかなかった金属など——空想物質を現実世界に生み出すことができる。
投影するときにいちいち世界が第三現実化することに気をつけるよりは、もとから第三現実に変えておいて、勝手な投影を取り締まる方が一つ一つの問題は安全だろう。
空想物質によって作った武器などで簡単に対処することもできるだろうからな。
『だから、最終目標は第三現実化の阻止じゃなくて、安全な第三現実を作り出すことにしようよ』
あ、ああ。そうだな。
......そんなことが可能なのだろうか。
......いや、違う。俺が可能にするんだ。
俺自身が、その未来を手繰り寄せるんだ!
『そうそう!その意気だよ!一緒に頑張ろう!』
ああ!......それで、そこまでに至る道筋だが、まずはこの年代の、天宙 創星に接触したい。それも、国に目をつけられないやり方で。
『ん?なんで?』
今の創星は第二現実があることも知らないかもしれない。ということは、第二現実の危険性にも気がついていない。それに、フェアヴァルターのこともあるしな。
『第二現実があるって?第二現実って創星さんが作ったんじゃないの?』
あれ?観てなかったか?
第二現実は、俺が作り出したんじゃない。
俺は、第二現実への干渉権限を持っていただけだ。
第二現実は、はるか昔......神と呼ばれる存在がこの世界を創造したその時——神代から存在している。
『え......えぇーーー!!!』
なんで観てなかったんだ?
『観てないというか......観れなかったというか......』
うん......?何故だろうな......
まぁいい。
俺は第二現実への初アクセスの際に、神代に起きたことを知った。
詳しくは言わないが、その時は第三現実と同じように、今の現実世界と第二現実が統合されていた。
『えぇーー!?どうして?ならなんで今は分かれてるの?』
その頃の第二現実は、簡単に言うと『世界創造キット』のようなものだった。
簡単に生物や物質、法則を作り出せるツール。
それが第二現実だった。
そして、基本的な世界が作り終わったとき......そして主神の一柱が全ての神を滅ぼし、世界を支配しようとしたため、他の主神達がその主神を封印し、その世界は2つに分けられた。
世界創造ツールである第二現実と、それで作った世界、第一現実——現実世界だ。
『へぇ......そんな歴史があったんだ......』
まぁ俺は第二現実にアクセスし、普通の人間でも使えるようにアクセス通路を作った。
それを、第二現実を作り出したと勘違いされた——まぁさせたんだが。
というわけだ。
『じゃあそれでさ、過去に戻ることってできる?』
理論的には可能だが......俺以上のアクセス権限が必要だから現実的ではないな。
『ふーん......そうなのかぁ』
話は戻るが。国に目をつけられないやり方でこの時代の天宙 創星に長期間接触するためには、正攻法で行かなきゃいけない。
『正攻法って?』
研究者として天宙 創星の研究所に配属されることだ。
それでも多少国に目をつけられるが、他の手段よりはマシだ。
なんせ天宙家だ。少しでも近づこうとすれば目をつけられるのは確定。
そしたら芋づる式に俺の事——俺が持っている未来の記憶がバレるだろう。
それからは自由なんてない。拷問でも薬でも何でもして記憶を引き出そうとする。
そんなヤバい奴を天宙家の中に結構心当たりがある。
国に目をつけられたくないといったのも、天宙家にすぐに情報が行くからだ。
国に目をつけられる=天宙家に情報が行く=ゲームオーバー。
天宙家に目をつけられる=ゲームオーバー
こんな状況だ。
『や、やばいね......』
ああ。だから本当に慎重に行動しなければならない。
ただ単に成績を上げるのではなく、不自然じゃないくらいに徐々に上げて、例の大学の研究部を目指す。
それが目先の目標だな。
『目先って言っても何年もあるけどねぇ......』
その間にもやることはあるぞ?
『ん?何?』
未来に向けて装置を作ったり、訓練をしたりだな。
いざとなったときに武器も体も動かせないようじゃ、何もできない。
前回体術でも習っておけばよかったと何回思ったことか......
『武器って?銃とか......?』
いや違う。携帯式の小型投影機だ。
『えぇ......?大丈夫なのそれ......?』
掌に物体を作り出して、敵に向かって発射する!格好いいだろ!
『確かにかっこいいけど......』
瑠璃に勧められて読んだ小説の中に、自在に物を作り出し、攻撃するキャラクターがいたんた。確か、創造魔法といったか。
それを実際にやってみたかったんだ。
男なら誰でも憧れるだろう。俺も憧れる。
『じゃ、今日はもう寝るね』
『ん。おやすみ』
現在夜の九時。そろそろ眠いだろう。体が小学二年生だからか俺も眠くなってきた。
......寝るか。
「先に寝るねー。おやすみー」
「おやすみー」
「おやすみ」
《おやすみなさい!》
本作を読んでくださり、ありがとうございます!
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