第2話 ~はじまり~
「なんじゃこりゃアアアアアア!!」
ゲームで寝落ちして
目が覚めて周りを見渡すと
何故かそこは糞尿と汗の入り交じった
汚物にまみれた豚小屋同然の牢屋であった。
今までのクーラーの効いた過ごしやすい環境とは程遠く
劣悪な環境であり
しかもなぜか自分の首には首輪を付けられ
鎖で繋がれているではないか。
首輪を外そうにも金属の為ビクともしない。
服をみると先程まで着ていた背広ではなく
薄汚れたコットンシャツに
麻でできた素朴なズボンを履いている
本来は腹の割れた引き締まった体格なはずが、
パンダのようなまん丸な顔に下腹の飛び出た三段腹。
これではまるっきりゲームでのキャラクターじゃないか!
興奮冷めやらぬ感情を押し殺し、
現状確認をしよう
周りにいる人間は
白人だけじゃなく中東にいるような肌の持ち主もいるようだ
ただボロ雑巾を無理矢理継ぎ合わせただけの
至るところに穴が開いた貫頭衣を着て
まるで死んだ魚の目をした虚ろな佇まいであった。
情報収集をしようと近くで繋がれている人に声をかけるが
耳が聞こえないのか一切返答がない
時折うめき声のような異声が聞こえるだけ
明らかに言葉が通じない
ここはいったい何処なんだろう?
無駄な時間が過ぎていき
さすがに腹が空きだした夕方に差し掛かる頃、
カンカンカンカン!
突然、空き缶で鳴らしたような音に振り向くと
身体中に傷痕がある片足を引き摺った男が
「Jm@agx%eat+wmah↓jun!」
と聞き取れない言語で叫んだ後、
木でできた粗末な碗を一人一人に配りだした。
中にはスープとパンが入ってあり、
味はほとんど無く塩のみで、
パンも石の塊みたいにガチガチ
スープに浸しても噛みきれないほどであった。
これ豚のエサのほうがマシなレベルじゃない?
不満はあるがこれを逃すといつ食事にありつけるかわからないため
無理矢理口に詰め込む
食べ終わった後、
暗くなっても明かりはあるはずもなく、
暗闇のうちに冷えた土間にての就寝である
だが今まで布団で寝ていた人間が土間で寝れる訳もなく
痛くてまともに寝れるはずもなし。
朝起きると硬直した筋肉に悩まされることになる
それから数日が過ぎた
どうやら食事は一日に一回夕方のみであり、
ギリギリ生かされている状態だ
言葉はまるで通じないが
身体言語という名のジェスチャーで
なんとか意志疎通をはかり
やっとわかったことは、
どうやら俺は奴隷商人に捕って
どこかに売り飛ばされるようだ