第18話 ~アドリア海~
地中海の海域の一つ、
アドリア海。
イタリアとバルカン半島の間にあり、
深く濃い青が特徴で、
比較的穏やかな潮の流れが特徴的な海。
もしも海に性別があるとしたなら、
アドリア海はきっと、
静かに優しく微笑む女神のような女性だと思う。
とてつもなく
広く 大きく 暖かい
母なる海
僕らを優しく包み込む
そのアドリア海に浮かぶ絶壁の孤島
凝灰岩が荒波で浸食され、
鬼の口のように見える
その海岸に突き出た崖の狭間に
船がギリギリ通れる場所がある。
狭間を抜けると
白くきめ細かな砂浜と、
エメラルドグリーンからコバルトブルーへと変わる
海のグラデーションが大変美しい入江があり、
コテージも幾つか見える
まるで高級リゾート施設のような場所である。
そこに生白い太った豚……
もとい、ダーノがいた。
あ~
海の蒼さと船のシルエットに癒される~
目の前の桟橋には
ラ・ロワイヤルが1隻
オスマンガレーが1隻、
ボロボロの重ガレーが1隻停泊している。
島の回りには4隻のガレアス&スループ
普通のガレーに比べてオスマンガレーは
船体がもの凄くスリムでシャープだよなー。
旋回性能が高そうだし。
あーガレー格好いいよなー
次はガレーに乗ろうかな~
でも装甲が紙なんだよな~
あ~やっぱ船見てるの幸せ
なにこれどんなご褒美ですか
俺たちは砂浜のリクライニングチェアで
すっかりくつろいでいた
先ほどまでの悲壮感が嘘のように。
いまどこの観光地にいるって?
海賊のねぐらだよw
~~~~~~~~~~~~
俺たちは海賊どもの隠れ家にいる
あれからカンツオーネに救出されて
いまは海賊どもの隠れ家に
お宝を回収しに来てます
なかなか良い所だよ
「カンツさん、危ない所を助けてくれてありがとう!
まさかカンツさんが生きていたなんて。夢のようです!」
コテージの中をゴソゴソ探す
ガラクタばかりでてくる
チッ、しけてやがんな
「気にしないでくださいよ。
僕も亡くなったはずだったんだけど、
こっちに呼ばれたみたいで。
また宜しく頼みますよ~」
カンツオーネは
海賊船長の胸ぐらを激しく掴みながら笑顔で拷問だ
「いま死ぬのと後で死ぬのとどちらがいい?
ほら、早く吐いちゃいなよ♪」
海賊船長は口から泡を吐いている
「会長もシンシアも教えてくれても良かったのに」
シンシアは怪しい笑顔で
黙々と床下をバキバキ壊している
目が怖いぞシンシアw
「ごめんなさい。伝えたかったんだけど……」
あった!
お宝お宝お宝だ~!
皆のテンションがMAXに!
「僕が口止めしてたんですよ♪
今はアテネの支店長をしてて。
こっちに来ると聞いてビックリさせようと思って★
ただ、最近ここらで海賊被害か多発してて、
丁度海事ギルドで
共同討伐艦隊を組んで見回りしてたんですよ~」
がっぽりウハウハ♪
金銀財宝、結構ため込んでたみたいだな
「お陰で命拾いしました!」
皆で山分けだ!
イェーイ♪
「ほんと間に合って良かったですよ。
よし、粗方回収できたみたいだな。
この場所はアテネのギルドで管理します。
ではアテネに戻りましょ~♪」
ダーノ達は
海賊の隠れ家をあとにして
一路アテネを目指す