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召喚されたら骨だった件  作者: 紗奈(ぷるぷる)
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死と生

新しく始めました。どうかよろしくお願いします。

........俺は死んだのか?さっきまで動いていたはずの心臓の音が聞こえない。手足も全く動かない。なんなんだこれは。


俺は佐藤奏さとうかなで26歳の地方の一般企業に勤めるサラリーマンでもちろん独身だ。午前6時から午後23時まで働く日々、家は職場から電車で1時間はかかる。夜食も買って帰ると、寝れるのは午前になってしまっている。


「このままじゃ、俺、死ぬぜ?」


大学は卒業した。だが、やりたい仕事に就けず、何度も入社試験を繰り返した。もし、入社試験の授業があるのなら、入社試験専門の教師にでもなれるだろう。


「あの時の苦労を返せよ。バカ。」


最近は独り言も増えた。当たり前だろう、会社では話す暇すら与えられず、ため息でもついてみようもんなら、減給すらされてしまう。今考えればこれはブラック企業だ。


「はよメシ食って寝るか。」


買ってきた夜食に手を伸ばす。ッ!なんだ?この激痛は。

今まで感じたことが無いほどの激痛が胸に走る。


「痛ッ!」


そうか、やっとグズみてぇな人生から解放されるんだな。いい最期だった........


俺の意識は遠くなっていった。一人暮らしだ、誰も助けようとする者はいない。独り、ただ寂しく、1人の男がが冷たいフローリングに横たわった。


........キロ........ォ......キロ


なにか聞こえる。いや、聴覚からではない。脳に直接語りかけられてるのか?


........オマエ.....ハ.....マダ...イキタ......ィカ?


あぁ、クズみてぇな生活だったが、それなりにやりたい事は残っている。動かないはずの口を動かした。


「あぁ、まだ生きてぇ。俺をどうするつもりだ?」


オマエ....ニ.....アタラシ...ィ....イノチ...ヲ.....アタエヨ.....ウ


新しい命だと?できるものならやってみればいい。


「できるもんならやってみろよ。」


....ショウチ.....シタ


眩い光で視界が埋め尽くされた。体は動かない。心臓も止まったままだ。そこには何も残らなかった。在るのは幻だけだった。



........俺は死んだのか?いや、意識はある。それに、考えることも出来ている。死んだとは到底思えない。


「せいこう。これで29回目。あとは知能を持つかどうか。」


声が聞こえた。前のように直接ではなく、聴覚からだ。俺は声がするほうへ視線を向ける。そこに居たのは、光の無い瞳を持った少女だった。


「うごいた。でも、まだ見守らないと、知能があるかわからない。」


さっきから知能ばっかり言っているが、人間なんだから当たり前にあるだろう。


「........!........?」


俺は声を発した。........しかし、少女に届くことは無かった。声が出ないのだ。そんなわけないと、声が出やすいであろう体勢になろうとした。カラッ。乾いた音が鳴った。


「........!?」


俺は動いているはずの心臓を見た。そこにあるのは、紅い石だ。そして、全体を見る。見えたのは骨。俺はパニックになった。


「........!........!!!」


体はカラカラと音を立てるが、声は出ない。俺は所謂ガイコツになったらしい。


「ん。今までにない行動パターン。知能、一応はあるみたい。これからは一緒。」


少女はゆっくり俺に近づくと、そっと、優しく抱きしめた。この感覚は何十年ぶりだろう。少女の顔を見上げた。さっきまでの光の無い瞳は、多少の輝きを魅せ、その瞳からは水がほんのり染み出ていた。
















ぜひ、他のものも読んでくださると嬉しいです。

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