悪役令嬢えもん
頭からっぽにして読んでください
学園のサロン、それも上級貴族しか使用が許されていない特別な部屋に、慌ただしく扉を開けて駆け込んで来た少女がいた
少女は一瞬室内を見渡すと、あろうことか優雅にお茶を飲んでいた王子へとすがり付いた
「うぇーん、エモン王子様ー!ツンデレ侯爵令嬢が私をイジメるんだー!仕返しする権力出してよー!」
「しょうがないなービタンちゃんはー」
さっと手を振り合図を出すエモン王子
パララパッパラーン♪
その合図にすかさず演奏を始める楽士隊
そして側に控えていた執事が恭しく豪華な箱に入っていた羊皮紙を王子へと手渡した
王子は羊皮紙を片手で広げて突き出すと、高らかに宣言する
「これより当学園に戒厳令を発令する、全近衛兵は集結し侯爵令嬢を断罪せよ!」
「ま、待ってエモン王子様!やり過ぎ、やり過ぎだから!」
「ん?そうか」
真っ青になった少女の静止に、王子は不満そうに顔をしかめた
「私はもう少し穏便なのがいーかなーって」
王子はその言葉に数瞬思案すると、再び手を振った
テレレテレレテレレレレレレ
楽士隊が巨大怪獣が来そうな曲を奏で始めた
不安げな少女を他所に、執事が装飾された宝剣を王子へ手渡した
王子は宝剣を目の前に構え宣言する
「炎龍部隊を呼び寄せ、侯爵令嬢へ威嚇射撃を敢行せよ!」
「だめー!威嚇で済まないからーだめー!」
少女がすがり付いて止めるが、再度の駄目出しに王子は不機嫌そうだ
「ぶ、武力行使以外でお願いします」
王子は少女の出した難問にふむーと考え込むみ、ポンと手を叩いた
どうやら妙案が浮かんだようだ
すかさず楽士隊へ向けて手を振る
デロデロデロデロデンデロン
あ、これは今回も駄目だと思っている少女を脇目に、執事は小さな宝石箱を王子へと手渡した
王子はその中から一つの腕輪を取り出すと高らかに掲げる
「のーろーいーのーうーでーわー♪この腕輪を装備した者が悪意を向けられると、腕輪から悪魔が出て来て悪意を向けた人を頭から食べてくれるんだ……さぁ腕を出してビタンちゃん」
「いぃぃぃやぁぁぁぁぁ!!」
悲鳴をあげて一目散に逃げ出した少女に、サロンに失笑が零れた
「エモン殿下、あのような無作法を許してよろしいので?お目障りなら私めが処分致しますが」
一人の貴族が問い掛けるが、それを王子は微笑で拒んだ
「そんな事を言って自分の物にする気だろう?駄目だよ、あれはお気に入りの玩具なんだから」
肩を竦める貴族を尻目に王子は笑みを深める
次はどんな風にからかってやろうかと
せめて二千文字は欲しい、ゴッド〇ァーザーのテーマで王様登場がどうやっても入れられなかった