第1話
アンデット化したことによってふたりともステータスとしてはゴーストのステータスになった訳だが、理性がある上位種の変動レベル個体として生まれたようだ。
カーティス
種族 ゴーストナイト
属性 闇
Lv.1(MAX99)
攻撃力 98
体力 65
俊敏性 89
魔力 146
個体能力(ゴーストとしての能力) 物理攻撃無効 忍び足(気配遮断弱) 魔法攻撃耐性弱
スキル:模倣 身体能力強化
弱点:聖魔法(弱以上の攻撃で浄化)
シャータ
種族 ゴーストナイト
属性 闇
Lv.54
攻撃力 846
体力 356
俊敏性 692
魔力 95
個体能力 物理攻撃無効 忍び足 魔法攻撃耐性弱
弱点:聖魔法
アンデット化してしまったカーティスとシャータだったが、今のところアンデット化したものが元に戻るということはありえないとされているので、とりあえずこのままゴーストとして生活することを決めたのだが、その前にシャータと幾つかルールを決めておいた。
「坊ちゃん、まずは1つ目のルールとして当然ではありますが人間を襲わないこと。理由としてはギルドの討伐対象になることを防ぐためです、いくら私の元のレベルがあったとしても、ギルドを敵に回したら聖魔法によって浄化されてしまいますし、姿を隠しながら暮らすしかありませんね」
この世界でもギルドというものは存在し、中でも冒険者ギルド、商人ギルド、農耕ギルド、工業ギルド、サービス業ギルドなどがある。
「でもゴーストはR級の魔物ですし、そう簡単には倒せないのでは?」
「いいえ坊ちゃん、実力ではR級の魔物ですが聖魔法の魔道具が発達して出回ってる今ではUC級の魔物と言っても過言ではありません」
ちなみにこの世界の魔物の強さの基準は冒険者ギルドが定めており、弱い方からC級、UC級、R級、SR級、XR級、EX級があり、それぞれの例を挙げるとこんな感じだ。
C級:ゴブリン トレント スライム オーク スケルトン
UC級:リザードマン ウルフ オーガ
R級:ゴースト レッサードラゴン レッサーデーモン
SR級:ストームタイガー ボルケーノレオ
XR級:属性龍 (ファイアードラゴンなど)
EX級:古代龍(属性龍の上位種)
それぞれの上位種は1段階ずつランクが上がっていくため、オークナイトはUC級、オークキングはR級となったりする。
「2つ目のルールです、できるだけ動物や魔物を狩りすぎるのも辞めましょう、これもまたギルドの調査が来る可能性を高めてしまいます」
とりあえずこの2つのルールを決めておくとして、これからの生活をどうするか、だ。
「シャータ、これからはどうするのだ、もう家には戻れないのだろう?」
「そうですね、しばらくはこの森で坊ちゃんのレベルを上げながら、まだ教育できてないこともありますのでそれを教えつつ暮らしていきましょう」
こうしてカーティスとシャータは森で暮らすことになった。
その頃辺境伯の屋敷では。
「まだカーティスとシャータは帰ってないのか?森に行ったきりだぞ」
「騎士団を使って探させておりますので、もうしばらくお待ちください、直ぐにお連れ致しますので。」
カーティスの父 ランティス・フォン・レオナルド辺境伯は子供で唯一の男子であったカーティスをとてもかわいがっており、将来領主としてふさわしいように教育していた。勇者の卵であったカーティスだが、父は跡取りとして育てるつもりだったのだ。
その息子が消息不明となって2日が経とうとしていた。ランティスは心配のあまり倒れてしまい、寝室で寝込んでいた。そこに1人の騎士が入ってきた。
「領主様、お伝えします。街の外にある魔物の森との境界付近において、カーティス様と教育係のシャータの装備とみられるものを発見しましたが、お姿は確認できませんでした」
ランティスは力なく起き上がり、
「息子は…息子は生きておるのか?」
「厳しいものと思われます…」
「そうか…報告ありがとう、しばらく1人にさせてくれ」
そう言ってランティスはしばらく塞ぎ込むのであった。
カーティスがアンデット化して1ヶ月が経った。ココ最近はR級の魔物までなら何とか倒せるくらいまでステータスが上がっていた。同時にシャータから色んなことを教えてもらっている。
特にこの世界や王国やその歴史については興味深いことがあったので紹介しておく。
まずこの世界は地球と環境が似ており、大陸も4大陸存在する。まずアリタニア王国が存在するローラニア大陸。その南東に位置する魔大陸、北にはマーランド大陸、南西にはワプス大陸がある。
魔大陸では魔王が統制をしいており、様々な魔人や魔物が暮らしているらしい。人間とは仲が悪く、400年前には大きな戦争があったらしい。
王国の歴史としては、成立は約750年前。それ以前では、魔法文明が今よりも発達しており、今ではロストテクノロジーと化したものも出回っていたらしい。その時代に於いて権力を握っていたのは黄道十二宮という存在で、各大陸において領地をもち、それぞれ統治していた。
しかし800年ほど前、異常現象により悪魔軍の襲撃に遭い、魔法文明の大半の技術は黄道十二宮により秘匿化され、黄道十二宮の総力を合わせ悪魔軍と相打ちしたらしい。異常現象の原因は未だ不明で、各国その対策を裏で今も行っているほどのものであったのだ。
その秘匿した技術というものは黄道十二宮の巨大迷宮に分けて存在しているというのが確認されているが、その迷宮の攻略は進んでおらず、最も進んでいるもので牡羊座の迷宮の100層のうち65層まで完全攻略されている。
それを知った俺は、ふと思いついたのだ。
「シャータ、迷宮を攻略出来たら僕達は人間に戻る技術を手にすることも出来るのかな」
ロストテクノロジーというものは沢山あり、それは今なお解明もされてないので、人間に戻る方法が存在する可能性もあると考えたのだ。
「どうでしょう、あるのかもしれませんが攻略はほぼ不可能と言われています」
不可能と言われてしまったが、おれはアンデットのままで過ごしたいとは微塵も考えてないし、シャータも同じだ。アンデットを抜け出す方法があるならそれに縋るというものだ。
おれは密かに迷宮攻略を目標にして行くのであった。